そこにある 変わるもの、変わらないもの。
先週の土曜 厚別に行って来ました。高校選手権 北海道大会・準決勝に。
毎年 この日が来るのを楽しみにしてまして 今年も勇んで厚別へ行きましたよ
いつの年も 選手たちは懸命で 自分の全てを懸けた戦いを見せてくれます
それは不変であり。それでいて すこしづつ進化している所もあります
変わらないものを確かめつつ 変わりゆくものに驚きと喜びを感じる。
だから 毎年 通うんですね 厚別に。
変わるもの。
準決勝の第一試合は 「北海vs帯広北」 の試合。これが面白い試合でした。
北海は南米型と言いますか個人技が主なチームで 帯広北は組織力の欧州型。
2つの異なったスタイルが ぶつかり合い 一歩も引かない攻防が 試合を面白く
させてましたね。特に帯広北は 新しいスタイルを作りつつある と思いました。
06年に全国優勝した野洲高校は あらゆる意味で高校サッカーに衝撃を与えたと
思います。例えば その自由なサッカースタイルも衝撃的でしたし また 都市部や
強豪校じゃない所でも 工夫次第で強化できる というヒントを与えたわけです。
当時 野洲高の優勝に感動して 色々調べたのですが 驚く事が多かったんですね
例えば セゾンFCという滋賀の強豪クラブチームとパイプを作り 選手を野洲高に
引き入れたり 高校の下部組織として野洲クラブを設立したり と それまでとは違う
地域を1つの組織とした作り方をしたんですね。この方法を用いれば 例え地方の
高校であっても 工夫次第で強くなれると 指導者は勇気づけられたと思います。
今回の帯広北を見て そんな野洲高校を感じさせました。
組織がしっかりしてるという印象でしたが 規律に縛られているわけじゃなく
自由な中にコンビネーションを持ってたんですね。その辺が野洲高と似てました。
ただ組織と自由を両立するのは難しく 例えばコンビネーションを作るにしても
「阿吽(あ・うん)の呼吸」 まで持つには 相当な時間が必要とされるわけです。
ですが 帯広北の組織力には その 「あ・うん」 があったんですね。高校の部活で
なぜそこまで出来るのか とても不思議でしたが 後でその理由が分りました。
帯広北も 「帯北アンビシャス」 という下部組織を持っていた と。
中学生を対象に 自前で選手を育てる組織 という まさに野洲高と同じ方法です。
おそらく今は多くの高校で この方式が取り入れられてるでしょうし その成果も
年々上ってると思います。実際 今回の帯広北も 出場した多くの選手が
帯北アンビシャス出身で 成果は結果として着実に表れているわけです。
こうした野洲高や帯広北のように 高校サッカーは 大きく変わりつつあります。
高校部活 単体で強化するのではなく 「地域力」 として強化する というような。
またやってるサッカーも 組織と自由が融合した 面白く魅力的なものが増えました
高校選手権という大会は変わってませんが そこで行われているものは
毎年 変化し続けてる と思いますね。
変わるもの。 それを 「進化」 と呼ぶのでしょう。
変わらないもの。
第一試合。終了の笛が鳴った時 北海高校の選手たちは 泣き崩れました。
「今日が 最後のサッカーになるかもしれない」 その覚悟を持ったプレーには
感動がありますし 全てを終えた時には 心の何かが崩壊するのでしょう。
毎年そうした姿を見て 胸が締め付けられますが いつか必ず君らのためになる
と思ってますね。ただ今年だけは少し違って 1人の選手を見ながら 泣けました。
1-3で負けてる北海が 最後の交代で出したのが 背番号6の選手。
背は高くなく ゴロっとした体型で 見るからに気持ちの強いタイプの選手でした。
ただ彼がプレーできる時間はほんの僅か。ボールを1回触ったか触らないかの時
終了のホイッスルが吹かれたのです。その瞬間から 6番の彼は 号泣しました
その泣き方は 少年のような。
敗退した高校の多くの選手は泣きます。それまで費やした時間や犠牲にしたもの
それら全ての集大成ですから泣くのも自然です。それでも皆 静かに泣きますね。
だけど 6番の彼は まさに号泣でした。 歩きながら 「うわー」 っと大声で泣く。
大会プログラムを見て 彼がコンサドーレU-15出身と知ってました。
ただスタメンに6番の姿はなく。控えの中に居るであろう その選手が気になって
たんですね。そして 最後に出て来た と。ただその交代も少し不思議に思うもので
2点差で負けてる状況なら 普通はFWか技術の高い選手を入れるのですが
出て来た6番の彼はそういうタイプじゃなく。監督の意図は何だろうと思いました
ただ 少しして何となく理解しましたね 監督が 最後の最後で彼を出した理由を。
試合終了後 多くの選手が泣きながらも 6番の彼に声を掛けていたのです。
それは慰めではなく。 「感謝」 というような。
この6番の選手 北海高のキャプテンでした。
それも 本当によくチームを纏めたキャプテンだったんじゃないかと思います。
ただ この最後の試合 彼はスタメンじゃなく。 ケガなのか実力か分かりませんが
そこには複雑な気持ちがあったかと思います。それでも 頑張り チームを纏めた
そうした姿に選手たちは 尊敬し 信頼した と思います。だから 試合が終わった時
多くの選手が自然と駆け寄っただと思いますね。それだけ信頼が厚かった と。
だから監督は 最後の最後に 彼を試合に出したんだろうな と思いました。
6番君が号泣しながらも しっかりと歩くその姿に 様々な背景が見えてくるようで
感動や悲しさとは違う けれども 心を掴まれるような だから涙が出ました。
変わらないもの。 どんな環境だろうと そこで頑張る姿。そして感動。
高校選手権には 毎年 何かしらの感動を貰います。
それは新しい発想であったり または 普遍的なサッカーの原点であったり。
この準決勝で見た 帯広北と北海高の対戦は 変わりゆくものと 変わらないもの
その2つが クッキリと浮かび上がり。それだけに 面白く そして 感動しました。
「今日が 最後のサッカーになるかもしれない」
その覚悟があるからこそ 選手権は尊く。そして 強く 強く 輝くのだと思います。
その輝きに魅了されて これからも選手権ファンであり続けたいと思いますね。
変わる進化を楽しみつつ 変わってはいけないものを守りつつ。