ナビスコ杯 優勝 ジュビロ磐田!
「壮絶」 としか言い様がない決勝でした。
最後は 縺(もつ)れに縺れたままゴールを切ったランナーのような。
そんな壮絶な戦いを制したジュビロ おめでとう。
決勝の両チーム 磐田と広島には 「復活」 が懸かっていたかと思います。
広島は 94年・前期の優勝や天皇杯・準優勝などの歴史はありますが 一昨年は
J2に居たチーム。一方の磐田は 黄金期を終え ここ2年は降格争いをしたチーム。
ようやく復調の兆しが見え始めた両チームですから ここは何としても結果を残して
内外に復活をアピールしたかったと思います。で 個人的に この対戦で面白いと
思ってたのが 両チームとも 近年に入れ替え戦をやっている所だったんですよ。
広島は07年に京都と 磐田は08年に仙台と それぞれ入れ替え戦を経験してます。
ただ 両チームで違ったのは 「短期決戦のスタイル」 と それに伴う 「結果」 だったん
ですね。広島のペトロビッチは 崖っ淵の勝負であっても 自分のスタイルを変えずに
繋ぐサッカーを徹底してました。その結果 降格と。反対に磐田のオフトは 短期決戦
用の戦いで (あの時は 松浦の奇跡もありましたが) 残留を果たしたわけです。
この対照的なものが 今回の決勝でも 何か見れるんじゃないかと 思ってましたね。
試合は 前半お互い慎重に戦いつつ 1-1で終え。この時点では まさか8ゴールも
生まれる試合になると思いませんでしたね。繋ぐサッカーという点では両チーム似た
スタイルでしたが 磐田の慎重さ から思えばロースコアになるだろう と予想しまして
ただ後半に入ってすぐ 広島・山岸がゴールすると 様子が変わって来たわけです。
1つ目の変化は ペトロビッチの采配。
後半開始早々の山岸のゴールでリードを奪うと 56分に森崎に代えて青山。
で その次の交代は スタミナが切れたとは言え ミキッチに代え DFの投入と。
広島の事はよく分からないのですが この交代は守備に重みを置く という意図だった
と思います。リードしてからの采配ですから それ自体は セオリーなのですが
ただ ペトロビッチは入れ替え戦でさえスタイルを崩さなかった人。ですから ちょっと
疑問がありましたね。この采配は 消極的なムードになっちゃうんじゃないかな と。
2つ目の変化は 柳下監督の采配。
逆にリードされた磐田は 60分に 先制ゴールの船谷を下げて 菅沼の投入。
77分には ジウシーニョに代えて山崎亮平。この2人の投入も 負けてる状態での
攻撃的選手ですから セオリーなんですが 生真面目なサッカーをする柳下さんが
西・菅沼・山崎の3人を同時にピッチに立たせるのは かなり冒険したんじゃないかな
と思いましたね。ただ この後半に投入された2人が 優勝へと導いたわけです。
優勝への鍵は 「積極性」 だったと思います。
交代のカードで守りに入ったペトロビッチと イケイケの2人を出した柳下監督
その采配も対照的でしたが 出場した選手の積極性も対照的でした。
特に ジュビロの菅沼。柏から出て ジュビロではサブに甘んじてる様ですが その
積極性は全くサビついてませんでした。ボールを持てば 何度でもチャレンジする
失敗しても萎える事のない そんな菅沼の気性がチームに力を与えたと思います。
また 山崎・菅沼のドリブルは 体力の残り少ない広島DF陣にとって 脅威だったと
思います。流れが広島に傾いたとしても 彼らの勢いで また戻されるんですから。
そして 何と言っても 前田遼一。
決勝の大舞台でも2得点2アシストですから 前田 無くして決勝は語れないですね。
個人的に前田遼一を 「スーパーフォワード」 と形容しています。従来のフォワードや
ストライカーとは違う オールマイティで絶対的エース。こうした選手は 日本には
前田遼一以外いないでしょうね。W杯の時のフォルランと同じ存在かと思います。
一方の広島も 最後まで自分たちのサッカーをやり通しましたし 槇野には凄みを感じ
ました。采配が消極的だった事と 佐藤寿人を残してしまった事が悔やまれますが
このチームは 誰が出てきても 広島のサッカーが出来る という強みがあります。
今後の期待も含めて 「復活」 を印象付けるには十分の戦いだったと思いますね。
そしてジュビロ。一時は降格も危うかったのですが それは脱出した様に思います。
まだ あの強かったジュビロへ復活 とは言えませんが 復調の兆しは見えました
柳下さんの下で 生真面目にサッカーに取り組み 戦うチームになったジュビロ
これからが本当の意味で正念場かと思います。今の固さに どう柔らかさを組込むか
が次の課題じゃないでしょうか。可能性のある選手が多いですから大丈夫でしょう。
07年・08年に行われた入れ替え戦と それぞれが 同じ結果になりましたが 今回は
降格を争うのではなく 日本一を決める戦いでした。そう思うと何か凄いですよね。
また 両チームに言えるのは こだわってチームを作って来たこと。
多少の事じゃ信念を曲げず 丁寧に下地を作って来た成果が表れたわけです。
それは 羨ましくもあり コンサドーレも そうあらなければ と思います。
とにかく。壮絶な戦いを制したジュビロ おめでとう。
■ ナビスコ杯・決勝 磐田 5-3 広島