不恰好ではあるが それは 確かな 一歩だった。
千葉戦の前日 久しぶりにコンサドーレ系のサイトを見て回った。
すると 何やら不思議なブログにぶち当たった それが
これ 「虹と雪のバラッド」
どうやらスタジアムで ”虹と雪のバラードを歌おう” という事らしいのだ。
多くの方は この運動を知っていただろうが コンサドーレの情報に疎く
ゴール裏の応援にも疎い自分にとって 何が何やら さっぱり分らなかった。
応援の曲がどう決められているか知らないし これを歌いたいと思っても
簡単には決められないものか?と不思議に思ってしまったのだ。
ところが よく読むと この「虹と雪のバラード」はゴール裏の話ではなく
有志の方々が発起人となって始めようとしてるもの。だから歌う場所も
ゴール裏ではなく 参加者が自らの意志で そこへ集わなければならない。
正直 「難しい」 と思った。
それは道民気質というか。ある程度 準備が整った上での参加は抵抗ないが
一から始めようとするものに なかなか手を貸そうとはしない。
ましてそこに 行動が伴うなら おっくうに思う人や 気恥ずかしさで
協力しない人が多いように思うのだ。まぁそういう自分も 最初
「スタジアムで 虹と雪のバラードか いいかもしれない」と思ったが
じゃあ自分が参加するか?と言えば やはり気恥かしく 無理だった。
なら このまま静観していればいいのだが ひとつ興味を引いたものがある
この「虹と雪のバラッド」というブログについていた
コメントが 否定的だった事。
勿論 賛成する方も多くいたが ”やめましょう” という意見も多かった。
その理由は様々だが 何となく 「やっても無駄なんじゃない?」 的な
冷ややかな意見に思えた。ただ 個人的には こうした否定的な空気が
何か面白かったのだ。面白かったと言ってしまうと 真剣に行動した人達に
申し訳ないが 何と言うか やってみたいと思って行動し そこに 弊害が
生まれた事に 興味を持ったのだ。
この運動が 何の弊害もなく 温かい空気のまま行われるようだったら
多分 興味は引かなかったと思う。だが弊害が生れた以上 そこに集う人達は
”否定的な目を覚悟の上でやる” という事 それは興味深いものだった。
どんな人たちが そこへ集うのか 気になった。
「試合開始1時間前 アウェイB席付近にて虹と雪のバラードを歌います」
ブログにはそう書かれてあり どんな人たちが集うのか ただの興味本位だが
どうしても見てみたいと思った。だがスタジアムに着いたのは 45分前。
既に時間は過ぎていた。もう終わったか と半ば諦めつつ B席へ向かうと
中段の少し上に らしき集団がいた。多分あれだ と思い 近くの席に座る。
集っていた人は30名ぐらいだろうか。先頭には太鼓を持った人がいる。
おそらく彼が主催者だろう。集まった人たちには 緊張の色が見えた。
しばしの静寂の後 太鼓の人が歌い始める
虹の地平を あゆみ出て
そして みんなが 続く。
だが その直後だった。
会場に 大音量で BGMが流れ出した。
その音に かき消される歌声。
それでも歌い続ける一団。
どこか不恰好な。 だけど 確かな 一歩。
歌い終わった後 太鼓の人は 集まった一人一人と握手し 深々と礼をした。
何かを始めようとする時 必ず弊害は起る。
むしろ 弊害なくして成功はない と思う。
そして 少しぐらいの弊害や批判や冷めた目があった方が
力になるのかもしれない とも思う。
だから このスタートは 面白いと思った。
このぐらい不恰好な方が 良い と。
それでも あきらめず続けて行けば
いつか必ず 実現するその時が来ると思う。
満員のスタジアム
試合が始まる 少し前
観客 全てが 静かに立ち上がる
手には 赤と黒のマフラー
それを掲げる
一瞬の静寂
そして 歌が始まる
スタジアムが それに続く。
虹の地平を あゆみ出て
それは 雄々しく。誇り高く。
頑張れ ばんぶう。