なでしこ W杯 優勝!
こんなことって あるんだな。
■女子W杯決勝 日本 2(3-1)2 アメリカ
ワールドカップを掲げる日本代表を見た時 「こんなことってあるんだな」 と しみじみ
思いました。サッカーの それも最大の大会で優勝なんて まだまだ先の事と思って
ましたし 毎回 トロフィーを掲げる選手を見る時 それが出来るのは特別な国の人達
と思ってましたから。嬉しいっていうか 嬉しいって感情が分らないほど不思議な感覚
であります。とにかく なでしこJAPAN W杯優勝おめでとう&ありがとう!
試合は 序盤からアメリカのペースで やっぱりその強さは本物だなと思いました。
体の強さを有効に使って 守備もハードに来てましたし 奪ってからの切替えも早い。
攻撃になれば しっかり繋げますし アタッカーも強力。また精神面でも 世界No1の
自信とプライドが 混乱を招く事なく 熱く強く戦わせていました。組織・個人・精神と
全ての面で王者の風格を漂わせるアメリカは 容赦なく なでしこを襲っていました。
開始からシュートシュートの雨あられ。正直10分ぐらい見た時 勝利は諦めましたね
日本がどうとかじゃなく アメリカが強すぎました。ただ 序盤の攻勢が途切れた時
もしかしたら日本にもチャンスはあるんじゃないか と思いましたけどね。
がしかしアメリカは萎える事なく攻撃し続けます。さすがの日本も腰が引けた状態で
ボールへのアタックも 得意のパスワークも発揮できないまま 前半を終えます。
幸いだったのは 前半をゼロで凌げた事。もしアメリカのどこかのシュートが決まって
いれば 後半は攻めに出なきゃならなかったでしょうし そうなれば 「耐える戦い」 に
持って行けなかったと思います。結果的に 前半を0に凌げた事が勝負のバランスを
保ったと思いますね。そしてもう一つ 日本の幸運は 澤穂希が居たこと。
08年の北京五輪 澤のプレーは正確で的確でした。常にボールを受けると どこへ
出せば良いか 次どんなプレーをすれば良いか 的確な判断がありました。
ただ今回の大会はパスミスが多かったんですね。今までなら通ってたはずのパスも
スウェーデンやアメリカには通用しなく 的確な散らしが出来なかったわけです。
日本の大黒柱が機能を果たさないとなれば 致命的なダメージですが そこからの
澤が凄かった。自分のパスが通らないと分った時 守備に力を入れたんですね。
日本人選手のほとんどが フィジカルコンタクトと嫌がり 距離を開けていたのに対し
澤だけは体をぶつけていました。体格差があっても構わずコンタクトに行く でまた
パスコースを読んで いち早くボールに行くんですね。この辺りが 澤の経験と精神力
が活きたプレーだと思いました。中盤でスムーズに繋がらなくなったアメリカは
若干焦りが出てきて 逆に日本はペースを掴みつつありました。
がしかし そこでのカウンター。永里がボールを奪われ そこからのカウンターで失点。
それじゃなくても ほぼ一方的な展開でしたから この失点は絶望的に思えましたよ。
でも なでしこの凄いのは ここからの粘りなんですね。心のひ弱な野郎どもにはない
肝っ玉があるわけですよ 女には。打たれても 打たれても へこたれず戦う。
そうして掴んだ ワンチャンス。ゴール前で こぼれた球を 宮間が打ち込んで 同点。
そして延長戦に突入と。でこの延長戦 並のチームが相手なら 持久力に定評のある
日本が有利と思うのですが そこはアメリカ とにかく実力が桁外れ。多少動けなく
なっても 体格の差と個人技でスタミナ不足を補うんですね。そして決定的と思えた
延長戦でのゴール。女王ワンバック 伝家の宝刀ヘディングゴールですよ。
このゴールを見て ワンバックは本物だと思いました。延長戦に入って 体が動かない
としても ヘディングであれだけのパワーを持ってましたし 気持ちのスタミナは全く
衰えてなかったんですね。体の強さ ボールテクニック そしてゴールを決める力
全てにおいて 本物でした。今すぐコンサドーレに入ってほしいですよ。 これマジで。
がしかし 心のスタミナなら 日本にも強靭な人がいる。 澤穂希。
延長後半 残り時間僅かのコーナーキック。ニアに飛び込んだ澤の同点ゴール!
このシーン CKを蹴る前から澤を見てたんですが 蹴る直前にニアへ走り出してたん
ですね。おそらく キッカーと澤のサインプレーなんでしょうけど あのワンチャンスに
ニアで勝負するっていうのは 相当な勇気がいると思います。ニア勝負はボールに
勢いがありますから 当てるのが難しいですし 延長戦で120分近く戦って 心も体も
スタミナが無いですから ホットゾーンでの闘いは 誰もが避けるところです。
しかし 澤はあえて 厳しい場所を選んだんですね。そこが唯一のチャンスですから。
あの時間帯 あの劣勢の中 ニアを選んだ事 そして決めきった事 凄いという言葉を
越えています。その精神力が澤の澤たるところだと思います。
おそらく あの時澤は 自分の実力を越えた 何か特別な力が宿ったのでしょう。
そして PK戦。
アメリカにしてみれば なぜここまで縺れたか分らなかったと思います。
守備は体格を活かし日本を抑え 攻撃では良い形を何度も作り パスワークも冴えた
エース・ワンバックも得点を挙げた。内容も結果も どこをどう考えても PK戦まで
縺れる要素はなかったわけですから。だからアメリカの選手は「信じられない」という
表情をしていたと思います。逆に日本は 最後の最後で追いついた事 PK戦なら
実力差は無くなる といった ポジティブな要素しかなくなったわけです。
その明暗は そのままキックに出ました。
今回のなでしこには色んな力が宿ったと思います。
震災の事で あらゆる国が応援してくれたでしょうし 日本の声も届いたと思います。
そうした力は 科学では証明できないものに変わりますから。
アメリカとのあれだけの差を埋めたのは チームの結束と日本国内外からの声援が
結集したからだったと思います。そして 耐える力は 日本の方が優ってました。
幸運や声援を力にし 耐えに耐え 澤が勝利へと導いたのだと思います。
なでしこは これで 「世界一」 になりました。
そして これからは未知の領域に入ります。
次2015年 カナダまで ディフェンディングチャンピオンになるわけです。
その王者の座を巡って 世界中の国々が戦いを挑んで来るわけです。
追う立場から 追われる立場に変わった なでしこ。
これからが本当の戦いかと思います。
日本女子代表 ワールドカップ優勝 おめでとう!