これは地産地消じゃない。 地産地 “勝” である。
この前 行きつけのパン屋に行ったら 店主が こんな事を言ってたんですよ
「フランスパンは フランスで食べたものに敵わないんですよ」 と。
店主はパンオタクで パンの研究にのめり込む人なのですが どんなに頑張っても
フランスで食べた味にならないって言うんですね。同じ小麦粉で 同じ作り方でも。
多分それは そこの空気や雰囲気が あの味にさせるんでしょうね と言ってました
味っていうのは レシピだけで作られるものじゃないんだな と思いましたね。
■ 札幌 3-0 福岡
ここ数試合 財前監督の選手起用に チャレンジがなくなったな と思ってましたが
この試合はケガや出場停止などで “チャレンジせざるを得なかった” ようですね。
で 前節と今節のスタメンを見比べてみると。
前節 : 杉山・日高・パウロン・ソンジン・上原・宮澤・上里・荒野・内村・砂川・ 横野
今節 : 杉山・上原・
奈良・ソンジン・
松本・宮澤・
堀米・岡本・荒野・砂川・
三上
と 5人の変更があって その内 実に4人の選手がユース出身に変わってました。
これ変な言い方をすると “輸入物から 北海道産に変えた” って事になるわけで
個人的には 道産子が増えるのは嬉しいですが 問題はクオリティですからね。
道産子を増やす事にこだわって 試合のクオリティが下がるなら本末転倒ですし
代えた選手が全員 若いですから そうなる危険性も高かったわけであります。
だから心配しましたよ 大丈夫かな と。ですが それと同じぐらい 期待しましたね。
この試合で 結果を出せれば 大きな ターニングポイントになる と期待しました。
特に期待したのは 三上。
この万能な選手が ケガなく 普通にプレー出来たら コンサドーレの機能が
一気に高まりますし 活躍すれば本人の成長にもなりますから 期待しましたよ。
でまた コンサドーレの場合 ワントップの人選に何年も悩まされ続けたのですが
ここで三上のワントップが機能すれば チームが凄く助かりますからね
ですから チームの行方を占う意味でも 三上の活躍に期待しましたよ。
主導権を握ったのは その三上のシュートから。
開始すぐに 荒野からロングパスが出て 三上が右からシュート。で その数分後
またも荒野からのパスで 中央からシュート。2本とも決まらなかったのですが
しっかりした形でシュートを打てましたし 相手からしてみれば かなり動揺したと
思うんですよ。 特に2本目は決められても仕方なかった形でしたから。
で こうした動揺が 主導権を呼ぶわけで その直後に生まれた岡本のゴール!
良いゴールでしたが 今の岡本なら 普通の実力のプレーでしたね。
そして もう一人の注目選手 荒野拓馬。
この試合 荒野のトップ下が良かったですよ。チャンスメイクをして ゴール前に
顔を出して 守備をして 裏を突く。まさに 理想的なトップ下の働きをしました。
今季の荒野の成長は目覚ましく だけど 残念ながらゴールが無かったんですね
まぁあれだけキレてるなら 近いだろうと思ってたら 最初のビッグチャンスが来た
上原のクロスから ドンピシャのヘッド! が 入らず。残念だなー思ってたら今度は
松本のクロスをダイレクトボレー! これが決まる。ゴール前に入るタイミングも
ボールのインパクトも完璧な一撃でした。更に 勢いのまま またも荒野のゴール。
今度はDF2人&GKと縺れながらループシュート。芸術点が高いゴールでした。
しかし 初ゴールがダイレクトボレーで 次がループですからね 君は天才か!
で これで3-0として。 後半は攻め込まれましたが 守備は集中してましたし
相変わらずDFとGKの間でファンタジーがありますが それはもはやご愛嬌ですし
最後はマエシュンのワンマンショーで締める というナイスなホームゲームでした。
この試合のキーになったのは やっぱり荒野と三上ですかね。
2人のプレーで主導権を取って ホームらしい積極的な試合にさせました。
それと 堀米。 この試合 初スタメンの堀米が良かった。深井も良いですが
堀米が入ると走りますし アプローチが速くなりますね。 それと攻めのリズム。
判断やプレーが速く 攻撃のリズムを作ってました。 そこに荒野と三上が絡む。
3人のプレーには “機能美” がありましたね。
人が動く 人を動かす 自分が動く という機能美があるサッカーをしてました。
考えてみれば 機能美のサッカーとは ユースが作り上げたサッカーでもあります。
普通 ユースは 個の力に特化しますが コンサドーレの場合 組織力というか
個人の総合力を上げているようで それぞれについたポジションで 役割を理解し
チームとしての機能性を高める という育成に重点を置いてるように思います。
そんなユース組で作られたセンターラインで 機能美を見せつつ 結果も出した
となれば 嬉しさも倍増しますよ。 そしてまた これは単なる1勝じゃない と言うか。
地産地勝。
その土地で生まれ育った選手が その土地で勝つ。 まさに地産地勝であります。
道産子を多く出場させながら 試合のクオリティは高く 勝点3も得た。
そして ユースがして来た事は 間違いじゃなかった そんな裏付けにもなった。
だから 勝ったのはチームだけじゃなく 北海道という土地でもあると思いますね。
もの凄く 大きな収穫に思います。
“いつかは” と思っていたチームの姿が こうして着実に 形になってますから。
ただ今はまだ焦りたくないですし オール北海道に拘り過ぎても危険かと思います
それでも やっぱり 嬉しいですね。北海道産が こうして正しく育つのを見るのは。
北海道のものは 北海道人だからこそ より美味しく感じるのだと思います
同じ空気 同じ寒さで育ったわけですから 食べた時 そこに違和感がない。
それは気づかないほど小さな違いですが 実は大きな違いでもあります。
それは サッカーも同じなのだと思います。
道産子が道産子に こだわる。 だからこそ より面白く より嬉しく 思う。
そういうものなんじゃないかな と思います。
パン屋の店主は 言いました
「フランスのフランパンには敵わないけど
北海道産の食材にこだわって もっと美味しいパンを作る」 と。
きっと “北海道で勝ちたい” のでしょう。
その人の作るパンは 最高にウマいです。