毎年 “高校選手権終了も以って 正月が終わる” という蹴馬鹿でございます。
その昔 武田が読売に入ったばかりの頃 選手権と日本リーグの人気を比べて
「高校生に負けてる」 と嘆いてたのを憶えてます。 当時 サッカーと言えば選手権
と言えるほど 人気は圧倒的なもので 選手にとって国立は最高到達点でした。
そんな国立が今年7月から改修されるという事で 今後 しばらく 高校サッカーから
「目指せ 国立」 のスローガンが消えるのは 少し寂しい気がしますね。
国立の試合で印象的なのは 雪の決勝戦や国見の黄金時代 野洲高などで
選手では大久保が一番 強烈でした。 中村俊輔や大迫・大前も巧い選手でしたが
大久保は巧さと強さがあって それ以前の三浦(淳)を越える最高の選手でしたね
その他 インパクトでは山城の石塚(コンサドーレにちょっと所属)も強烈でした。
そんな数々の思い出の国立に別れを告げつつ 選手権決勝を見ておりましたよ。
■ 高校選手権・決勝 富山第一 3-2 石川星陵
ともに県勢初の決勝進出という事もあってか 気合が空回りした感がありました。
おそらく いつも通りの試合をやれば もう少し繋げたんでしょうけど 動き過ぎて
ゲームが落ち着かなかったように思います。 富山はポゼッションやシュート数で
上回るものの決定機は作れず 逆に星陵は1度のチャンスでPKを得ていました。
このPKの時に 過(よぎ)ったのは 控えのキーパー。
富山第一には “PK職人” と呼ばれるGKがいたんですね。 準決勝の第一試合で
四中高とPK戦になりそうになった時 交代で そのGKが出て来たわけです。
ただ ちょうど外出する間際で このPK戦を見るか迷いましたが 結局 見ましたね
だって面白いじゃないですか そんな選手。 総合力は落ちるが 何かに特化する
そういうスペシャリストが今 激減してて 特に土壇場のPK戦に特化するなんて
いったいどんなメンタルなんだ? って興味 持ったんですよ。
で 彼はPKを1本 止めるために出てきて そして止めて 決勝に導いたわけです。
プレー時間は僅かなのに キャラクターを含め 強烈なインパクトを残してました。
で 決勝戦。 富山が与えたPKで もしかすると そこで彼が出てくるんじゃないかと
思ったんですよ。 ただ時間はまだ前半35分。さすがにそこでは出ませんでした。
その後 富山は追加点も奪われて0-2になり 試合も残り5分を切ったわけです。
正直 その頃 試合は決まったかなと思ってましたね。
星陵は今 本田フィーバーに湧いてるだろうし 今回のチームは守備がしっかり
してますから 逆転される要素は ほとんど無かったですからね。
その辺はもしかすると星陵の監督も そう思ったのかもしれません。
で 星陵の監督は なぜかそこでキャプテンを下げた。 理由は分からないですが
いくら残り5分と言えど 精神的支柱を下げるのは 危険かなーと思ってました
すると後半42分 富山が見事なカウンターで1点を返す。
このゴールは 後半から入った俊足のストライカーが取ったもので 富山は交代が
功を奏した形でしたし 逆に星陵は今大会初の失点 しかも追い上げられる形で
更に精神的支柱を欠いた状態と 一気に形勢は逆転したわけです。
そしてロスタイムには 流れのままPKで同点になり 延長戦に突入したわけです。
こうなって来ると見たいのは PK戦。 というか正確には 富山第一のPK職人。
その能力やパワーは本物かどうか 確かめたいと思ったんですよ。
ただ星陵も PK戦は強く 今大会4戦中2戦が PKでの勝ち上がりでした。
となれば 壮絶なPK戦になるだろうな と ちょっと期待しましたね。
試合は延長後半9分。 富山第一がゴールを決め 初優勝をしました。
PK戦にならなかったのは個人的に残念でしたが 富山の2点差でも諦めない粘り
監督の息子がキャプテンという難しい中でも チームを牽引したキャプテン
スピードスターやPK職人というスペシャリストが控えにいる強さ など
それら全てが 噛み合って 富山第一の優勝があったのだと思います。
特に PK戦に絶対的な信頼のおけるGKがいる富山は 延長戦の残り時間を
“ここで決めれなくても PK戦で勝てる” とポジティブにプレーできたと思います。
それに対し 星陵はキャプテンが下がり 同点に追いつかれたわけですから
追い詰められた感が強く 両校のメンタルの差は大きかったと思いますね。
という事で 高校選手権が終わって 正月気分も終わりました。
今回の大会で しばらく国立とお別れですが それに相応しい決勝でした。
で これを機に開催期間や選手権そのものの見直しを図ってほしいと思いますね
遅くても10月には終わるようなスケジュールにして 3年生の受験を考慮したり
新チームの発動を早めたりしないと ますますユースとの差が広がるだろうし
結果的に 国立を目指したり 憧れたりする選手が減ってしまうと思うんですね。
自分のような選手権ファンは いつまでも “そこが憧れの場であってほしい” と
願ってます。 でまた そういう強い憧れが 選手を成長させるでしょうし。
何でもかんでも 日本を強くさせる事ばかり優先しないで
何でもかんでも 総合力を高める事ばかり優先しないで
高校サッカーには高校サッカーの 憧れや誇りを持たせてほしいと思います。
何かに欠落していても 何かに優れた選手が ドンドン出てきてほしいと思います。
そういう所に 高校選手権の本質があるわけですから。