ようやく勝った。
リーグ戦3連敗中のコンサドーレはC大阪との2戦目でやっと連敗を脱出した
連敗が長く感じたのは やはり得点できていなかったからだろう。
例え連敗していてもゴールさえあれば 不安もさほど大きくならないが
無得点である以上 勝つ可能性はゼロなわけで 一刻も早く点が欲しかった。
だが いつものように攻めまくるもノーゴールのまま前半が終わる またかと
不安が過る中 迎えた後半。PAギリ外のFKを得た。だが キッカーがいない。
福森がいればと思うが 怪我のため離脱してしまった。誰が蹴るか注目した。
菅ちゃん!
なぜか菅大輝が その気の顔でボールの横にいた。だが その時 思ったのは
”これ ドカーンって蹴って 壁に当たって 2人失神するだけだろ” だった。
で 実際蹴ったら 本当にそうだった。幸いなことに失神者は出なかったが
零れたボールに小柏がシュートを放ち GKに阻まれたものの 浮いたボールを
ドドがヘッドで決めた。なんか ”思ってたのと違う!” 的なゴールだったが
それでもゴールはゴール しかも約4試合ぶりのお久しぶりゴールである。
これで気を良くしたか その直後 駒井のヨロヨロクロスから 青木の乳ート!
これで2‐0。そのまま試合を終え 久しぶりの勝点3をゲットした。
この試合で思ったのは ”戦い方は変えていない” という事。
連敗中だろうが 無得点だろうが いつも通りに戦い いつも通りに攻め続けた
ただ結果だけが違った。前節と同じ相手だけに それが明白だったと思う。
相手が対策して来ても コンサドーレはコンサドーレの戦い方を貫けば良い
というのを物語った。勝敗はボールの零れ方ひとつでもあるわけだ。
ただ勝敗の波を無くすために戦術の継続と浸透 そして強度は必要だと思う。
だからこそ思うのは ”変えてはいけない” という事。
チームとしての特長を持つという事は 選手も戦い易くなるだろうし
また それが内外に対しての魅力にもなる。特にコンサドーレの場合
クラブの立ち位置からして 完成された選手を獲って組み上げるのではなく
若い選手を起用し 主軸にし J1で戦える選手に育て上げる事が重要なのだ。
それを今 しっかりできているのだから 変えてはいけないのである。
プロビンチャ
地方都市のクラブが育成を軸にチ-ムを形成し 少ない資金でも運営する事。
コンサドーレは20年近く前から このプロビンチャの路線を歩いていて
それは今も変わっていない。監督によっては即効性を求める人もいたが
クラブの方針として全く変わらないのだ。今は昔ほど苦しいわけではないが
それでもJ1中位の資金力や 地方都市である事 親会社がないという点では
プロビンチャど真ん中のクラブであるのは違いない。
そうしたクラブにとって ”育成に長けた監督” は必要不可欠である。
試合に起用しながら育て 長所を伸ばし短所を埋める そうした指導をしつつ
一流に育て上げられる事が 監督に求められる最も大きな仕事なのだと思う。
その点において ミシャに疑う余地はない。
例えば大卒1・2年目の4人は 今はもう無くてはならない存在になった
例えば荒野。ミシャ以前と近年では別人と思えるほど成長した
C大阪戦でゴールしたドドも青木も 少しづつだがプレーの幅が広がっている
また 若い選手だけじゃなく 菅野も宮澤も確実に選手としての質が上った
これらを見ても ミシャの育成力が確かなのは 我々にも明白なのである。
そしてもう一人。確かな成長を感じる選手がいる。
菅大輝
最近の菅は何か変わった。
以前は自信が足りなかったのか 自分が行くべき場面で福森に預けたり
シュートでいい時でも横に渡したりと 積極性に乏しい場面が多々あった。
それが性格なのか もしくはユース時代に慎重さを植え付けられたのか
その辺りが 菅の成長を妨げている原因ではないかと思っていたのだ。
それが最近は 逞しくなったと言うか 力強く 思い切りの良さが出て来た。
おそらく結婚が一つの転機だと思うが 見ていて菅々 いや清々しいのだ。
例えばサイドでのドリブルが増え 推進力が高まったし クロスの種類も
低く速いのや高く強いのもある。更に今回のセレッソ戦ではDFとしての
仕事も完璧にこなした。そして最強の武器 1試合に1度はお見舞いするやつ
菅キャノン。いや バスーガ砲と呼んでもいい。
あれはもう見てるだけで良い。入るとか入らないとかさえ どうでもいい。
それぐらいシビれるパンチ力だ。相手DFはホントに怖いと思ってると思う。
それが頻繁に披露されるようになったのは まさに菅が成長した表れだろう
以前のままなら数か月に1度ぐらいだっただろうが 今は心の成長と共に
”おいしい所は福森さんどうぞ” じゃなく ”俺がいただきます” になった。
そうした菅の成長は見てるこっちも嬉しいし チームとっても良い事だろう
だから もっともっとやってイイと思う ”札幌のシャキリ” になるぐらいに。
ミシャは それを待ってると思う。
ミシャは菅を信じた。だから使い続けた。
あれだけ攻撃 攻撃言う人が 菅の消極的なプレーを見ても使い続けたのは
いつか菅が相手の脅威になるのを信じてたからだろうし 待ってたと思う。
それが今 ようやく そして少しづつ 開花しようとしているのだ。
それが ミシャの育てる力。
毎日の練習で 鍛えながら 教えながら 導き そして気づくのを待つ。
ミシャは そうやって選手を成長させている。
ただ試合に出せば 選手は勝手に成長するなんて事はなく
試合に出せるまでの準備やタイミングを見計らっているのだろうし
出場したなら 何が良かったか何が足りなかった 考えさせ 伸ばしている。
またミシャは 攻撃や守備の上手い選手を育てようとしてるのではなく
”優れたサッカーマン” を育てようとしているのだと思う。
だから1人の選手が 攻撃も守備もそして責任感も持つようになるのだろう。
そうして荒野も高嶺も金子も 成長の跡を見せるようになった
そして今 少し時間が掛かったが 菅の番になったのだ。
ただ 菅も チームも まだまだ完成形じゃないし 伸びしろも無限にある
だから菅の成長こそが コンサドーレの プロビンチャの 象徴のように思う。
コンサドーレが ここから1つ先に行くために 攻撃の最後や守備の最後など
どうしても身に付けなければならないものが まだまだある。
選手の成長も チームの成長も まだまだ道半ばなのだ。
プロビンチャの道は厳しく。
ゆく先を間違えてしまうと クラブの存続さえ危うくなってしまう。
迷わず進むには ”プロビンチャに適した監督” が絶対に必要である。
良質な若い選手を加入させ 優秀な選手に育て チームを上昇させられる事。
もっと言えば 移籍金もクラブの収入源であり 選手が出て行ってしまっても
また優秀な選手を育てられる事 それを良質なサイクルにする事も求められる
監督に課せられた仕事は困難で重大だが 出来なければクラブの未来はない。
そんな重い仕事をやれる監督は そういない。
だからこそ思う。
ミシャ
すまないが
あなたの力が
まだまだ必要だ。