「ああ 今日はコンサドーレの試合なんだもねぇ」
「ええ」
「なんか 今年は調子イイみたいで。監督がイイんだってねぇ」
「ええ まぁ」
昨日 ドームへ向うタクシーの中 運転手さんとのそんな会話。
多少の社交辞令もありましょうが 最近はこういった会話がよくあります。
開幕から1ヶ月が過ぎ サッカーやコンサに興味のない 遠巻きに眺めてる人達からも
今年のコンサは"悪くないらしい"という評価を得てるようで つい顔が緩むのです。
巷の噂もそんなですから 当然 私らのようにサポーターと言われる者の
期待値は計り知れないのでしょう。
岡田や鈴木(智)を実際に見ている者としては。
ただ 去年・一昨年と比べて どこがどう良くなった?と聞かれると
ちょっと返答に困ってしまいます。
例えば 日本ハムのように「新庄が来た」これだけでも人気の理由になるのですが
コンサの場合 連勝してるわけでもなし 内容が格段に良くなったわけでもない。
「紆余曲折の中 若手に切り替えて頑張ってる」そう曖昧な答えしか出ないのです。
実際 結果のみを挙げれば 6戦で1勝4分け1敗。勝点7。
昨年の6節時点では 3勝1分け2敗の勝点10と
出足から不調だった印象がある昨年より下回っています。
内容も 昨年は同時点で13得点と 得点力も高く 特に新潟を完封したり
室蘭では福岡を相手にウィルのハットを含む5得点と
今思えばそう悪くなかったはずです。
確かに至上命令である"昇格"を基本とすると
負けそのものがフラストレーションとなるのですが
それとはちょっと違った不満があったのではないでしょうか。
例えるなら"チームの方向性"のような。
悪くないのに不満が残った去年。そう良くはないが期待は高まる今年。
と対照的なシーズンの出足となっています。
去年までとは状況が違うのですから 一概に比較は出来ませんが
この1ヶ月を振り返っても変わった所は幾つもあります。
例えば 圧倒的な存在感の外人選手がいなくなり ボールはコート満遍なく使われる
右から 左から 中央から 攻撃のバリエーションは豊富になりました。
昨日の試合 市村のゴールに象徴されるように 左MFが中に切れ込み ゴールする
右の岡田も高い位置でボールを貰ったなら 必ず勝負に行く
これらのプレーには攻撃のバリエーションが増えた。という事だけじゃなく
若手が思い切りの良いプレーをしている という事も含まれています。
昨年までには そうそう見れなかった事ではないでしょうか。
FWの新居も同様 昨年とは格段の違いがあります。
彼らに見る"伸びやかさ"が 「期待させる何か」なのでしょう。
こういった"勝負どころでキッチリ勝負に出る"というのも今年の良さではありますが
そうさせているのは 柳下監督であることに違いありません。
そう 今年。チームが変わったのは
柳下監督 この人の手腕。と言って過言でないでしょう。
静岡一筋で来た柳下氏にとって 札幌は異国とも思える環境だったはず
1月。一面に広がる雪景色。じっとしていられない寒さも。ツルツルの路面も。
更に言えば 「サッカー環境の差」には愕然としたのではないでしょうか。
まして 歴史的路線変更を示したコンサには 今までのような資金面の贅沢さはなく
昨年の主力はほとんど放出。入るのは新人のみ。と言う厳しいものです。
頼るべき選手は 砂川のみ。まっさらな状態の中 一からの作り出しだったはずです。
2年・3年目の新居にしても 岡田にしても 市村も 吉瀬も昨年はレギュラーではなく
鈴木 智に至ってはまだ18歳。
彼らを主力に使うには相当な配慮が必要だったと思います。
そんな彼らに 何を伝え どんな練習によって 今に至ったか分らないのですが
経験の薄さをカバー出来るチームになっている監督の手腕には感心させられます。
多少 不安定な所があるのはご愛嬌ということで。
こうして 冷静に そしてしっかりと チームの土台作りは進められてるのですが
もうひとつ監督に驚かされるのは「勝利への執念」。
先週の室蘭も 昨日のドームも 後半MFを下げ FWを投入しています
この采配には賛否があると思うのですが「ホームでは絶対勝つ」という意思を感じ
前のめりで応援する者にとって こう言う事を嬉しく思うのです。
残念ながら まだ結果を残せてはいないのですが 必ずやその意思は伝わるはず
監督を信頼し その想いをもっともっと深く受け止める時が来たなら
きっと結果は出てくるのでしょう。その時チームは一回り二回り強くなってるはず。
とは言え。どこまでが選手の力で どこまでが監督の力で
良くなっているのか 正直分らないのですが
昨年までと違う点には 監督の力が大きいように思います。
それも開幕から僅か1ヶ月の今。日本人だけ。若手中心の中。
チームを作り 見る人を楽しませる
プロサッカーとしても十分な価値がある試合をしているわけで
ましてサポーターと自認する者ならなおさら。なんせ前のめりですから。
先日 某サイトに載っていた 柳下監督のインタビュー。
「札幌のサポーターは優しい もっと厳しくてもいいと思ってます」
こう言ってました。
たぶん 厳しくはならないでしょう。 特に今は。
サポーターは知っています。今のチームの良さを。
そして期待を込めた観方があることを。
何より。単身 頼るべき者もない中。尽力を注ぐ監督に応援を送り続けるでしょう。
厳しさより 「暖かさ」。それが札幌サポーターなのです。
幻想的期待感を漂わせながら 札幌を熱く厚く見守るサポーター。
それに応えようとする 選手 監督。薄っすらと見えてくる 未来予想図。
悪くない。そう思える出足。
ただ この夏ぐらいには ギアをひとつアップしてほしいなぁ。焦りたくはないけど。
元旦 ジュビロでの最後の仕事を 男泣きで終えた 柳下氏。
いつの日か 札幌で もっと もっと 泣かせてみたい。 そう思える監督です。
いや その願いは きっと叶うでしょう。
昨日のタクシーの運転手さん。
今年はまだ始まったばかりです。楽観はしてません が
今年のコンサ 間違いなく イイです。