それは電光掲示板に標された3の数字が見えた時からだった。
ロスタイム 3分間。 …長いな。
3分と言えば カップラーメンが出来る時間。一昔ならボンカレーを待つ時間。
だがこれは己の腹具合 サジ加減でいくらでも早める事が出来る。
ロスタイム。これは己の力ではどうする事も出来ない。
ここはひとつ選手たちに頑張ってもらうしか…もらうしか…
あっと言う間だった。90分を2-1で終え ロスタイムに入った瞬間
失点。唖然。同点。
会場が一瞬静寂に包まれる。すぐさまゴール裏からコールが起こる。
まだある!もう一度!と思った次の瞬間
また失点。呆然。逆転。
力が抜ける。 いやいやいや まだある。もう一回!急げ!
林がキャッチする。すぐさま前へ蹴り出す。
が。前には池内の背中。跳ね返る。
ボールに向ったユニフォームは 白 だった。
そのままゴールへ。
ロスタイムの3失点。これはある種 記録ものだろう。
珍しいものを見せてもらった。お腹いっぱいになった。
ただ このロスタイムの失点劇 「自滅」と言っていい。
後半から投入した 西嶋・中山の役割がはっきりしなかった。
まずはポジション。砂川を下げ 西嶋を入れた それはそのままの交代でいい。
だが西嶋の守備はもろかった。人に対しルーズに行った。
そして加賀を下げ 中山を入れる。初め和波が右DFに入る。
中山はトップ下。西谷が左MF。
この状態で 明らかな混乱が見られた。
柳下監督が指示を出す。和波と池内のポジションチェンジ。
それでも混乱は収まらない。西嶋のポジショニングも悪い。
中山は役割が分からぬまま ピッチにいるようだった。
「なんとしても勝ちを取る」そう勢いづいているのは甲府。
幾度となくピンチは訪れる。それでも何とか失点は免れていた。
まもなく90分になる。もう少し。あともう少し頑張れ!
だが守備が落ち着かない。混乱はますます酷くなる一方だった。
更に甲府の勢いは増す。
失点は免れない状況だったのかもしれない。
でも そこを何とかしてもらいたかった。
あと僅か数分を凌げないはずはない。
チームを落ち着かせ。流れを引き寄せる。いや流れを停滞させるだけよかった。
だがチームにそういう役割が出来る選手はいなかった。
混乱を混乱のままプレーし 時間を稼ぐ事も出来なかった。
実際 ファウルを貰う場面がいくつもある。その度すぐ起き上がる。
勢いが相手にある内は すぐに向うにボールが渡るはずなのに。
キーパーがキャッチしても 急かされるようにキックしてしまう。
ああいった場面では何度も何度もプレーを切る事がセオリーだろう。
相手の足を一度止めさせれば また動き出すのに時間が掛かる
そうすれば運動量も勢いも落ちてくる。
1点リードを守り切る とは守備を強くする事だけではないのだ。
相手のリズムをいかにして狂わせるか と言うのでも正解だろう。
余りにも稚拙な失点劇だった。
それでも唯一の救いは 堀井岳也。
彼は途中交代でやるべき事をやった。
ケガ明け ちゃんと走れるだろうか と言う我々の不安を
吹き飛ばすかのような 走り。そして献身さ。
もっと学ぼう。もっと理解しよう。もっともっと強くなろう。
ミスをするより ミスを恐れる事の方が みっともない。
負けることより 混乱を見せてしまう事の方が 恥ずかしい。
怒りよりも 珍しいものを体感してきた。
そんな印象が残る 甲府戦だった。
本日の余談。
今 サッカー界で一番輝いてるのは Gatasの吉澤だと思う。
この人にアドバイスもらった方がいい。いやもらうべきだ。