このブログは コンサドーレ札幌 及び サッカーに全般ついて
専門的見解を以って より鋭くより深く 追求する ブログである。
うちの近くに 銭湯がある。
この銭湯 風呂が熱い。半端なく熱い。
その熱さたるや 罰ゲームなみだ。竜兵も泣く。出川は笑う。
最近はスーパー銭湯がブームのようで いたる所に出来始めている。
だが ここの銭湯。そんなブームには構っていない。
湯船(大)と湯船(小) 洗い場 定員2名のサウナだけ 昭和な銭湯だ。
その佇まいも昔気質なら その本質的な所も昔気質なのだ。
初めてこの銭湯に行った時 その熱さに驚き ジャンジャン水を入れた。
すると横のじいさんが 少し眉をしかめた。
さり気なく水を止める。そっと入ってみる。股のつけ根がキーンとなる。
飛び上がりそうになるのを何とかこらえ 一旦 上がる。
おそらく47~8℃あるのではないか… いや もしかすると50℃も…
冗談じゃない。何を好き好んで罰ゲームを受けにゃならんのだ?
オレは風呂に来ただけだ。目的は罰ゲームじゃなければ 我慢大会でもない。
がしかし…ふと思う。
もしかすると これがここの「普通」なのかもしれない…
そんな疑問が頭を擡げた。湯船の淵に腰掛けながら 辺りをぐるりと見渡す
じいさんの他には 2~3人の客がいた。皆 常連に見える。
いや常連ではないかもしれないが その時の私にはそう見えたのだ。
あまりの熱さに動揺し 全てが格上に思えた。常連者に見えた。
「人は裸になれば 皆 平等」と言うが それは違う。
弱者と強者 新人とベテランがある。現に今の私は 弱者であり 新人君なのだ。
そうなれば新人君の私には もう うかつに蛇口を触れない。
ここの風呂には ここのシキタリがある。
そんな言葉が頭の中に木霊する。何とも言えぬ緊張感が漲っていた。
「郷に入れば 郷に従え」 意を決し もう一度 熱湯にトライした。
キーン 恐ろしいまでの衝撃が下腹部を刺激する。
ヴヴ… 声にならない声をあげ とうとう湯船に浸かった。
全身に襲う熱さ それは痛みに近かった。
体中を竹やりで刺されるような痛み。刺されたことはないが。
すぐにでも湯船から出たかった。だが それは敗北を意味する。
常連おやじ達のせせら笑う顔が浮かぶ。
こんなところで負けるわけにはいかない。それは自分自身との戦いだった。
25…26…2じゅう 7… に じゅう…は …ち …に じゅ
ダメだった。30まで数えられなかった。
何食わぬ顔で湯船を出る。体中が真っ赤だった。
それは死闘の爪跡。常連おやじとの戦い 自分自身との戦いの 爪跡だった。
ケロリン桶と座椅子を持って 腰掛けた。洗髪する。
ふと顔を上げ 鏡越しに常連おやじたちを観察する。
誰も躊躇わず湯船に入っていく。
やはり あの温度が正解らしい。初心者にはそうとうなハードルだ。
程なくして 一人の客が入って来た。同世代ぐらいだろうか。
サーとシャワーを浴び 湯船に向う。まずは片足を入れた。ビクッとする。
ちょこっと入れ ちょこっと引っ込めた。その様子を見逃さなかった。
さては 新人だな。
彼がどうするか観察した。すると 躊躇わず 蛇口をひねる。
風呂中にドドドーっと水の出る音が響く。
後ろ向きのまま 首だけをひねり 彼を見た。
一瞬 ハッっとした顔をし 急いで蛇口を戻した。
これだから 新人さんはよ
そんな表情をしながら 湯船へと向う。
今度は躊躇わず 湯船へと入った。
やっぱり 泣きたくなるぐらい 熱かった。
しかし なぜにこれほどまで高温にするのか? 疑問が湧く。
何事にも程よい設定があるはずだ。店の人間も分からないはずはない。
湯船に浸かり 気が遠くなりそうになりながら ふと考えていた。
もしかすると これは精神の鍛錬ではないだろうか。
例えば 滝に打たれる修行があるように
その真逆の 熱湯に浸かり 精神を鍛える。自分自身と戦う。
それが この熱湯の意味するものではなかろうか
そんな哲学的なことまで考えるようになっていた。
だが結論が出るまで 湯に浸かってることなど出来ない。
意識が朦朧(もうろう)としてきた。勢いよく湯船を出る。フラっとした。
入り口横のソファー ぐったりとしながらカミさんを待った。
上がってきたカミさんに尋ねる。「女湯も熱かったか?」
カミさんは大きくうなずいた。
やはりな。この銭湯には崇高なテーマがあるのだ。
甘さ 楽しさだけに流されてしまう 私たち庶民に
それでいいのか? と疑問を投げかけているのだ。
それが あの熱湯。あの設定温度なのだ。
銭湯も奥が深い。
体を洗う。リラグゼーションを得る。そんな浅いものだけではなかった。
己と向き合い。己と戦う。時に自分の弱さを知り 内なる自分と戦う。
また 他人とも戦う。素っ裸のまま 武器も待たず 精神的闘争を繰り広げる。
銭湯は戦闘だ。僅か380円で得られる 自己鍛錬の場なのだ。
あれから この銭湯に行くたび 己が強くなるのを感じる。
水を入れることはない。躊躇いも無く湯に向う。
もう 私はベテランだ。熱湯上級者だ。竜兵も出川もライバルではない。
そんな自分を誇らしく思う。
そして店主に感謝をしたい。自己鍛錬の場を与えてくれたことを。
ただ あと4℃ 下げてくれていただけたら…。
願わくば この銭湯がいつまでも有り続けることを祈る。
PS:頑張れ!コンサドーレ! ※本編とは何の関係もございません。
次こそサッカーの話し書こう