親善試合 U-21
日本1-1韓国
薄曇りの試合と言うべきか
全体がハッキリとしない 「くすんだ色合い」 に見えた。
その理由の一つに DFラインが下がってしまった事が挙げられる。
縦に間延びし ビルドアップが上手く行かなかった
本来ならば 平山が当て こぼれから2列目が攻撃するのだろうが
バックライン・ボランチも低いため 中盤の人数が足りていなかった。
そのため試合は ロング・こぼれ・中盤での混戦 の繰り返しになった。
それが今ひとつハッキリしない試合に見えた原因ではないだろうか。
そんな試合の中 2人 異彩とも言える輝きを放っていた。
一人は 水野。
言うべくもなく 今日の殊勲者。
攻撃の手役は彼だけだったと言える。
どんな場面でも 受ければ勝負に出て センタリングを上げた
例え相手が2枚で来ようと 交わし チャンスを作り続けた
得点シーンが その象徴と言える。
あのゴール 80%は水野の得点と言ってもいい。
ただ今月3日のナビスコ決勝を境に 水野のパフォーマンスが落ちていたように思う
直後の天皇杯 コンサドーレとの試合も 11日・19日のリーグ戦も
センタリングやシュートの精度がひどく低下していた。
疲れやモチベーションの問題はあるだろうが そのままの状態で
今回を向かえたのではと思っていた。
だが 立ち上がり ファーストタッチで見せたセンタリングは
リーグ戦や ナビスコ決勝 好調時のものだった。
彼自身 あのファーストプレーで 「今日は行ける」と感じたのではないだろうか。
特にトラップは素晴らしかった。どんなロングでも思うままに止めていた。
この代表では 既に欠かせない存在である。
もう一人は 乾。
先週14日に韓国で行なわれた同親善試合。後半30分に初出場を果した。
ボールを受ければ 果敢にドリブルを仕掛け スルーパスを出す
その勝負度胸とテクニック また自分がトップスピードであっても
視野を確保し 冷静に人の動きを見ている そして最後に決定的なパスを送る。
彼のプレーを見て ふとこんな事を思った
中田英寿がやりたかったのは 乾のようなプレーではないだろうか と。
今回 ホームで向かえた韓国戦。少しでも長く乾のプレーが見たかった。
1点ビハインドの中 なかなか攻撃の手を打たない監督に焦れた。
30分 増田のゴールで同点にしたものの 後半39分に谷口を入れ
それが最後のカードだと思った だがその直後 乾が呼ばれた。
そこからは もう試合展開に関係なく 早くボールが切れる事を願った。
僅か5分と言う中 とにかくボールへ寄って行き 貰える位置を取る
ボール保持者に対して 視野に入るようにアピールする
そして貰えば迷う事なくドリブルに入る 相手が寄って来れば
十分 引き付けたところで スルーパスを狙う。
そのプレーは 高校でも アウェイ韓国でも ホーム国立でも 全く変わらなかった。
面白い。 この選手 実に面白い。
この選手は屈託なくサッカーをしている。
それは当たり前のようであり 当たり前ではない サッカー本来の魅力なのだ。
彼を育てた岩谷氏と野洲高・山本監督は本当に尊敬する。
ただ この乾も少し心配だった。
今月11日には選手権準決勝 14日にU-21韓国戦
そして18日に選手権決勝を延長戦の末 全国出場を決めたばかりなのだ。
全国覇者というプレッシャーの中 県代表を勝ち取った事で
ようやくホッとした時だと思う。現に優勝時 乾は号泣してたようだ。
その僅か3日後 またもU-21の試合。臨む姿勢は違うとは言え
現役高校生にこのタイトでハードなスケジュールは酷ではないかと思っていた。
「応援を聞いていて 早く出たかった」
これが乾 本人談である。こういったところがプロ向きな選手なのだ。
おそらく「出て活躍する」そういったポジティブなイメージしか持ってないのだろう
それが屈託のないプレーに表れている。だから魅せる選手なのだ。
来年は横浜マリノスでプレーをする。ぜひそのまま 壁を乗り越えつつ
そして 変わらずにプレーしてもらいたいと思う。
その前に選手権。決勝は室蘭大谷vs野洲で。
それにしても残念なのは 本田の欠場。
右の水野 左の本田 中の乾 いつかは見たい組み合わせだ。