なんとも気が落ち着かないですね。
結果を知りたいような 知りたくないような。
ここまで来たら 腹 括るしかないんですがね。
さて 明後日 今季 最終戦が行なわれます。
対する相手はサガン鳥栖。あの重鎮 松本育夫 最後の指揮です。
先日 札幌でも柳下監督の退任が発表されてましたから
共に 今季限りで指揮を降りることになったわけです。
在任期間も 共に04から3年間。チームどん底からのスタートも同じ。
似たような境遇の中 全く違う経緯を経て チーム強化を図った2人でした。
ただ 最終戦を前に 両チームの勝点差は4。
それは1試合ではひっくり返せない 「近いようで遠い差」じゃないでしょうかね。
勝点4の差は そのまま松本監督と柳下監督の差に思えます。
松本育夫と柳下正明 2人の繋がりは30年近く前から始まります
その辺りの事は以前
「蹴馬鹿の窓」にも書きましたが
今 2人が監督と言う同じ土俵に立って 同じようにチームの先頭で
選手やクラブやサポーターなんかを引っ張って行ったのですが
やっぱり柳下監督は松本育夫の背中を見ていたのかなと思います。
同じどん底と言っても 札幌の場合 まだ恵まれた環境かと思います
選手に掛ける予算も 練習場も サポーターの数も
あらゆる面でJ2の中では 恥じるような環境ではないものでした。
一方 鳥栖は03年 年間僅か3勝という成績 それを伴っての存続の危機
そんな状況下で松本育夫氏が監督に就任しました。
松本監督が最初に打ち出したのが「闘志」
闘える者だけを試合に使いました。その象徴となるのが新居じゃないでしょうか。
就任2年目で引き入れた新居 その資質を活かしながら伸ばした
その結果が 鳥栖での活躍に思います。
組織的にも 今年飛躍的に伸びた印象があります。
それまでの鳥栖は「闘う」ことを全面に押し出したことで
何か「粗暴」なイメージがあったのですが 今年はユン・ジョンファンを加え
サイドに起点を作ったことで 全体のバランスが間延びせずになっていました。
ラインの押し上げにより 波状攻撃を仕掛け 新居の闘志によりがゴールを生む
そういった形を作れるようになっていました。
「闘志」をベースに 「組織」を上積みした
それが松本育夫のやり方のように思います。
一方 コンサドーレは2年間 耐えに耐えた期間でした。
柳下監督も就任当初 札幌の現状を見て驚いたんじゃないでしょうか。
「これも出来ないか」 「ここから始めなきゃダメか」と。
指導の基準を下げながら 最終的には学生を教えるようなレベルまで
落として行ったような気がします。それでも出来なかったのが実状でしたが。
ようやく組織としての基礎が出来上がったのが 去年。
予想以上に時間が掛かったかと思います。
そして今年 大塚・フッキを加え 「勝負の年」としたのですが
それが逆にチームの歯車を狂わせた。秋になるまで上手く機能しなかった。
鳥栖とは真逆に 組織整備を重点に 理想となる形を
一つ一つ積上げて行ったのですが 今年 急に現実的な路線へ移行したことが
選手内の戸惑いを生んだのではないでしょうか。
共通認識に至るまで 半年かかった。それが不振の原因かと思います。
「チームを強くさせる」 その方法は限りなくあるかと思います。
ですが 時間と予算に見合ったやり方は 自ずと限られてきます。
柳下監督の方法は 決して間違いじゃないと思います。
ですが より現実的な方法をとったのは 松本育夫であり
サガン鳥栖というチームだったのではないでしょうか。
観客動員という所まで その功績は及んだのですから。
もう一つ。鳥栖の優れたところは 後任の育成。
鳥栖は既に後任の監督が発表されています
岸野靖之コーチの監督就任。昨年コーチとして鳥栖に入り
今年は 監督を補佐する というより ほぼ監督に見えるほど
大きなジェスチャーで指示を与えていたのが印象的でした。
松本監督は自分が指揮をし チーム強化を図りながら 後任も作っていた。
こうした所も 札幌を上回っているんじゃないでしょうか。
岸野氏の力量がどうなのかは まだ分からないですが
戦術などの急変もないでしょうし チーム内に混乱もなく来年に移行できます。
何より 道理として正しいやり方じゃないでしょうかね。
松本育夫。
何か こう あらゆる面で 一歩 先行く人だな と感じます。
鳥栖のフロントに入るらしいですが
またどこかで指揮を執ってもらいたいものです。
柳下正明。
監督としての第1ラウンドは 僅かに及ばなかった。
いつかまた同じ土俵に立てたなら その時は越えてほしい。
それが弟子としての 礼儀かと思います。
明後日 最後の対決。
師は師としての 弟子は弟子としての 意地を懸けた戦い。
互いの信念を打ち込んだチーム
その集大成が そこにある。