昨日は 宮の沢に 吉原宏太と加賀が現れたとか。
この 「夢の白タイツ・ツートップ」 出現で 練習場はさぞ色めきたったと思いますが
元祖 白馬の王子は もう30歳ですか。 月日が経つのは早いもんだ。
あれは96年の今ごろ。
当時 この私 やさぐれにやさぐれてまして もう ここには書けないほどの
やさぐれっぷりでした。でまた やさぐれには やさぐれの仲間が出来るもので
私の周りには 常に 非合法な連中が集まっておったわけです。
そんなヤツらと毎日 タムろする店がありました。
この店 いたって健全な店なんですが どうにも来る連中が悪い
店内 あちこちにキナ臭いのがゴロゴロしてるわけです。
で そんなある日のこと。 いつものように グダグダと店にいると
ギギっと店のドアが開いて もんの凄い光というか 後光が入り口ドアから射して
「なんだろなー」 と見たわけですよ そしたら そこに立ってたのが
白タイツ王子様ですよ。
もう 眩いばかりの光でね。私なんか 一瞬の間に 硬直ですよ。ピキーんと。
でもって 口なんか アグアグなって 「ヨシ… ヨシ… コウ コウ」 ですよ。
そんな私を見て 仲間が 「どしたの?」 って聞いてきます
考えてみれば 生きる非合法なヤツらですから 吉原どころかコンサドーレのことも
知らない連中ばかり。この掃き溜めのような所に 突然現れた白馬の王子様も
ただの兄ちゃんに過ぎないんですね。 この幸運を分からないとは 実に情けない。
で こいつらに 吉原の事を教えてやろうと思ったんですよ
選手権得点王だ!とか 選手権のヒーローインタビューでは
「まだ就職 決まってません! Jリーグの皆さん よろしくお願いします!」
と 伝説のコメントを残した!とかを この連中に教えてやろうか と。
でも ヤメた。こいつらに言っても どうせワーワーなって 迷惑掛けてで終わるのは
目に見えてるわけで それじゃあまりにもな出来事になってしまうわけだ。
だから 「どしたの?」 の問いには 「なんでもない」 と答えて終わらせた。
で 肝心の 白タイツ王子様 いや コータくんはというと 普通に席にいる
確かに落ち着いて見ると ごくごく普通の兄ちゃんだった
でまた 周りの客も分かってるのか 分かってないのか 騒ぐことはない。
そんな様子を チラ見で窺ってたんですが このチャンスをみすみす逃す手はない
どうにかしてお近づきになろうと 思案したわけですよ。
そこで ヒラめいたのが
この 非合法なヤツらを使って お近づき作戦
というもの。まぁ ロクでもない人間は ロクでもない作戦を考えつくもんですわ。
まず 最初に仲間の若いヤツ 一番 危ない系のヤツに 言うんですよ
「おい あそこにいるの サッカー選手だぞ もの凄い 人気選手だぞ」 と。
すると その若いのは 「え マジ?」 となる。次に 「サイン 貰って来ようかな」 と。
で 私が 「おお 自慢 できるぞ」 と言うと ヤツは即 手帳とペンを持って行った
すると 続けて 他の連中も 「じゃ オレも」 「オレも」 となった
私は席に着いたままで 「オレはいいから」 と言いながら 最後に行くヤツに
「店の中じゃ 他の客にも迷惑になるから 外でやってもらえ」 と言った。
それから5分経過。私は席を立つ。店の外へ出て 即席サイン会の所へ
厳(いか)つい野郎に囲まれた王子 その様子はスターとファンなんてもんじゃない
どこを どう見ても ユスリ・タカリの世界だ。「ちょっとジャンプしてみ」 の世界だ。
その様子をしかめ顔で近づいて あたかも揉め事を治めに来たかのように言う
「どうしたんだ? この兄さんだって プライベートなんだから そろそろにしとけ」 と。
どうだ。このセリフ。完全に決まった。
仲間の1人は もの凄い喜びようで 「Tシャツにサインして貰った!」 と見せた
だが それはどう見ても 肌着だ。グンゼの肌着に書いて貰ってた。アホだ。
他の1人は ちっちゃい手帳にぶっといマジックで書いて貰ってる。こいつもアホだ。
ここまで来ると さすがに コータ君には気の毒な事だった
皆を店に戻してから 「すまなかったな」 と言うと
「いえ ぜんぜん いいんです」 とキッパリ 言った。
実に 爽やかな それでいて屈託のない笑顔を見せた。
その瞬間 完全に作戦は成功した。
「非合法なヤツらを使ってお近づき作戦」 が。
このシナリオ通りに運んだ作戦が コータ君には随分と感謝され
それからというもの その店で 練習場で または偶然 会ったコンビニで
コータ君は 屈託なく話しかけ 爽やかな王子様スマイルを向けてくれた。
出会いが まったくのプライベートな場所だったため
彼の素顔を覗き見ることができたのですが
本当に ごく普通の 爽やかな青年でした。
でまた その普通さの中には 天然的な 結構 やらかすところもあり
それはそれで 親しみのある王子様でもありました。
その辺のエピソードは いつか機会があれば また。
そのためにも
おーい HFCさん
白馬 用意してもいいんじゃない?