今度の土日 厚別で高校選手権・準決勝 決勝が行なわれる。
対戦カードは次の通り
20日 土曜 準決勝
■第一試合 : 室蘭大谷 vs 旭川実 11:00~
■第二試合 : 登別大谷 vs 浦河 1:45~
21日 日曜 決勝
■12:00~
強豪と思われる3校に混じり 異彩とも言える ”町” からの進出
そして 私立校に混じって ただ一つの公立高校
浦河高校が初のベスト4へと駒を進めた。
小さな町の大いなる偉業へ向かい その第一歩が 聖地厚別で踏み出される。
2年前のちょうど今ごろ 浦河へ行った。
浦河の友人に ”ちょっとばかりの一大事” があって 急遽 激励に行ったのだが
その時 初めて行った浦河の感想は
とにかく 遠かった。
浦河には 何人か友人がいて 皆 コンサドーレを応援する仲間である。
スタジアムや飲み会でしょっちゅう会ってるので あまり考えていなかったが
実際 この浦河町まで行ってみて その距離に驚いた。
札幌から高速を使い 苫小牧の辺りで 一緒に行った友人R氏に
「もうすぐ着くのかい?」と聞いたら「まだ3分の1ぐらいですかね」と。
なにぃー!まだサンブンのイ イチぃ だとぉ?
3分の1ってのは 2分の1より小さいんだ!と言うことはだな
それはすなわち 半分的な長さよりも もっとあるわけで 札幌-苫小牧間の倍
6分の3と 6分の1がアレして カーブとか 信号とか…
どんだけ 遠いのよ いったい!
と思った。
と同時に「あの人たちは いつもこの距離を来てるんだな」と感動した。
浦河に限らず 仲間達の中には 遠く埼玉や 道内でも函館・倶知安など
様々な場所から 距離感など感じさせない応援をしている人たちがいる
行ってみて初めて その距離と ”尊さ” を知るのだ。
浦河の友人達は数こそ少ないものの いずれも強烈なキャラクターの持ち主で
“超パワフルかーさん” や “数少ないアウェイ観戦で会う確率100%な人” や
“いつもは ただの酔っ払いだが実は凄い人 ” という濃ゆい面々でなのある。
しかも それぞれが後援会やPTAであったり サッカー指導者であったり
役員に名を連ねる ある意味 ”町の偉い人” であったりするわけなのだが
ことサッカーに関しては無邪気と言うか かしこまった姿を見たことがない。
そんな友人達から聞いた 浦河のサッカー事情が 実に興味深かった。
浦河にはいくつか中学があるのだが 中でも第一中学のサッカー部が強く
2年前の全中では ”全国大会へ出場” するという偉業も遂げていて
「小さな町だけど スポーツが盛んで 良い指導者がたくさんいるんだよね」
そう言っていた。 なるほど 浦河はサッカーに限らず 他のスポーツも強い。
そのバックボーンになっているのが ”指導する人たちの姿勢” だったのだ。
それと “地域ぐるみで指導している” のも 浦河の優れた所だった。
浦河のサッカー関係者には 小・中・高の指導者の他に総合的に見る人もいて
横や縦の繋がりを密に取っているというのだ。だから中学は中学 高校は高校
と分断されずに一貫した指導が出来ている と言う。
言うなれば “小さな町だからこそ出来る強み” そういうことなのだろう。
これが大都市やクラブチームが充実した地域では そうはいかないと思う
選手の選択肢が多く それぞれ散ってしまうわけで 一貫性は保てないのだ。
今回 初のベスト4へ進んだメンバーも 多くは浦河一中からの選手だそうで
中学の時から慣れ親しんだチームメイトと 彼らを見続けた指導者がいてこそ
成り立っているのだ。 言わば ”地域としての集大成” と言えるのだろう。
もう一つ 浦河高校躍進の影には ”コンサドーレとの結び付き” があった。
U-12の大会 シンザンカップなど この地域の大会にコンサドーレユースが
出場したこともあり ”指導者同士の繋がりが深まった” と言う。
選手たちもユースとの対戦が 大きな経験と刺激になったのは勿論だろうが
こうした指導者たちの繋がりも 双方にとって大きな原動力と言えるだろう。
地方や少子化が進む地域には ”どう育成して行くか” というテーマがある。
人数は少ないながらも「強くしてやりたい」「伸ばしてあげたい」と思うも
その育成方法が上手く見つからないジレンマもある。そうした答えの1つに
コンサドーレユースがあるのだ。 小中高一貫の育成に長けたユースからは
学ぶべきものが多く 浦河はそこから多くのものを吸収していた。
”総合的な視野の育成” それが浦河の指導者たちにあった。
言わば 浦河は ”町を 1つのチーム” としている。
小学から高校まで 縦と横の繋がりで育成を続ける そうした背景があった
だから 今回のベスト4進出は 決して幸運ではなく 偶然でもなく。
“長く忍耐と情熱を傾けた成果” と言えるのだ。
今 浦河の関係者達は活気立っているだろう。
あの全国選手権まで あと2つの所まで来ているのだ。
友人にメールすると「たくさんの生徒たちが応援に行くよ」と言っていた。
その文面からも 感動が伝わって来た。
その気持ちが よく分かる。
自分も ずっとずっと昔 同じ 経験をした。
それは 私の選手権への想いと 憧れと サッカーへの情熱
あらゆる事への 原点となる出来事だった。
それは 30年以上も前の話しだ。 中学の時のこと。
地元の高校が 選手権・全道大会 決勝まで勝ち進んだ。
3つ上の姉がいたため 出場する選手は知った顔ばかりだった
姉の通う高校であり 私もそこへ進学する事を決めていた
だから その ”躍進” は 私や仲間達の胸を躍らせた。
だが マチは ”衰退” の一途を辿っていた。
入って来るより 出て行く方が圧倒的に多いマチ。
衰退の中の 躍進だったからこそ あれほど輝いて見えたのだろう。
北海道の真ん中の 何もないマチ。
そんなマチで起った”道大会・決勝進出” は 嬉しく 強烈な出来事だった。
対戦する相手は 王者・室蘭大谷。越えるには余りに険しい壁。
テレビの前で最後の最後まで応援をした。だが 結果は残念なものに終った。
友たちと一緒に見ていたが みんな急に無口になったのを憶えている。
だが快挙は続いた。地元校を破り全国出場した室蘭大谷が準優勝したのだ。
勇敢なGKが何度もピンチを救い 次々と強豪を破る姿に感動した
あの時の興奮が 今も生々しく残っていて それが 私の原点となってる。
今 浦河で起こっている事も きっと同じだろう。
試合を見た 少年たちが 父兄たちが 関係者たちが きっと感動している
そして それを原点とした人が出てくると思う。
時間が経つにつれ 人々の心の中に大きく刻まれたものになる。
たぶん そうなる。 きっと忘れない人たちがいる。
「厚別は 夢の場所だった」
そう言っていた浦河高選手が ひとつ 夢を叶えた。
次は 全国。そして国立へ。
それは選手たちだけの夢ではない。
「そうなるために」「なれるように」と力を与え続けた人たちがいる。
例えば 両親。例えば コーチ。例えば 近所のおばさん。
いろんな人たちも 同じ夢を描いて ここまで来たのだ。
もう迷わず進もう。次の夢へ。
小さな町の大いなる偉業へ。
今年の選手権大会ポスターには 中澤の写真とメッセージがある
その言葉は「君たちへのための言葉」と言っていい
強豪校でもなければ 大都市の高校でもない。
小さな町の 公立高校が ここまで来る事の大きさ
それが中澤のメッセージと同調している。
そして 「あきらめるな」 と。
夢は 必ず 叶う と。
次の夢へ。
その一歩が 厚別で踏み出される。
頑張れ そして 頑張ろう 浦河高校サッカー部。