浦和は ミランの名前に負けていた。
ホームである以上 もっと積極的に行くべきだった。
「勝つ」 と言う意識が足りなかった。
レオナルドの言葉は 厳しくも 温かく
「頑張れ」 と言うメッセージが込められていた。
昨夜のスーパーサッカーで 元鹿島レオナルドのインタビューが流されていた。
コメントの対象は 先日行われた CWC 「レッズvsミラン」 の試合についてのもの
概ね上記のようなコメントをしていた。一見 厳しく感じる言葉だが
全て 言い得ている事であり 最も感じたのは 「浦和への敬意」 だった。
■CWC準決勝 浦和レッズ 0-1 ACミラン
スコアを見れば 接戦にも思えるし 妥当という見方もある。
W杯もCLもEUROも ステージが上がれば上がるほど ロースコアの試合が多くなる
それは 両チーム慎重な試合運びになるためだが 逆を言えば それだけ両チームの
力が拮抗してなければ慎重になる事もないのだ。
今回の場合も もしミランが 「レッズは警戒するほどではない」 と思っていたなら
慎重な試合運びなどする必要がなかった。
1戦目のレッズは 「ほぼ完璧」 と言っていい試合をした。
同チームとの3連戦という異例の対戦だったが セパハンを完全に抑え
相馬の突破から 幾度もチャンスを演出した。圧勝と言える勝利。
それを見たミランが 「油断」 などするほずもない。まして真剣勝負の場。
本気で取り組んで来ることは 容易に予想できた。
本気だったからこそ 慎重なゲームになった と言える。
レッズ・ミランの両チーム 守備意識が高く 集中力を絶やさない試合
まさに 「真剣勝負」 が行われている事に喜びを感じた。
重い試合運びでも力の差は見える。それでもミランは軽はずみなプレーはしない
相馬・長谷部のドリブルが良いと聞けば そこを強く止めに行く
レッズも カカがボールを持てば 鈴木がハードに行く 両チームの潰し合いが
激しくなればなるほど 本気度の高さを感じる試合になっていた。
日本のチームがミランと本気で戦っている それは喜び以外の何ものでもない。
そしてもう一つ 感動したのが ミランと言うチームに だった。
当たり前かもしれないが 「対戦相手を油断しなかった」 こと。
それはミラン選手個々に感じられ ゲームを通しても同様だった。
何より その根底にある
相手への敬意
が感じられたからだ。
自分たちにプライドがある以上 相手にも同じものがある その意識が見えた。
レッズを対戦相手として認めた上で 本気の戦いに挑んだのだ。
そこに感動し 同時に羨ましくも思った。
今 日本で 「ミランに認めさせるチーム」 はいくつあるだろうか。
ヨーロッパで戦うのと変わりない手応えを持つチームはあるのだろうか。
ミランはレッズと戦いながら 遜色のなさを実感して行ったように思う。
だから最後まで 慎重に 手堅く 勝利のための 試合運びをしたのだろう。
そしてレオナルドの言葉。
今レオナルドは ミランのテクニカルディレクターとして帯同している
レオナルドの言葉は ミランの一員としての言葉でもある
そのコメントは厳しかった。「消極的」 「勝利への意識」 「ホームの意識」
そういった事への苦言をレッズに向けていた。
だが それは 相手を認めたからこその 言葉である。
レッズなら もっと出来たはず と言う意味を込め その上で 「戦う事」 を語った。
言葉が厳しくなればなるほど それは「敬意」への裏返しになる。
もう一つ。レオナルドは周知の通り 大変な親日家だ。
腕には 日本語で 「全てに感動を」 というタトゥが彫られている
そんな人物が ただの批評はしない。言葉の根底は 日本全部に向けた
メッセージでもあるほずだ。例えば
もっと頑張れ ニッポン
のような。
厳しい言葉だったからこそ感じる 敬意 励まし 温かさ。
レオナルドだったからこそ なお更 強く そう感じた。
ただ残念な事に 試合はレオナルドの言うように 負けるべくして負けた。
失点してからも 積極性が高まる事はなく 勝負を避けているように見えた。
相馬のドリブルは止められ 長谷部のパスはカットされ ワシントンさえ封じられた
力の差を感じるのも 自信をなくすのも 仕方がないかもしれない
だが 勝負である以上 「勝つ」 と言う目的を持ってプレーしてほしかった。
レオナルドは そういった 「一番最初に持つべきもの」 を語っていた。
最初にあって 最後にあるもの それが 「勝利への執着」 という事を。
特にブラジル選手は 全てここから始まっている。見た目は派手なプレーでも
ゴールのためのプレーであったり 勝利という結果のためのプレーであったり
全ては勝利から逆算する選択になっている。
レッズを認めた上で 足りなかったもの。
それも一番重要なものだったから レオナルドの言葉は厳しかった。
その言葉を レッズにだけ向けられたものにしたくはない。
コンサドーレも 同じく 来年は 「力の差がある戦い」 になるだろう
J2で通用したものが 通用しなくなる。守り切れたものが 切れなくなる。
得点できそうな所で抑えられる。その時に必要なものがレオナルドの言葉に
いくつも込められている。
例えば 「名前に負けるな」。
来年レッズと戦う 鹿島とも戦う その時 最初から怖気づいていたなら
勝負にもならない。自分達が自分達として戦う事で 初めて同じ土俵に立てるのだ。
そして 「勝利への執着」。
どれほど劣勢であっても 最後まで勝ちや勝点を目指すこと。
運や偶然も そこに執着心があってのもの 諦めた時点で 全てを手放す事になる。
だからこそ 勝利への執着は最初にあって 最後まで持つべきものなのだ。
そして何より 相手への敬意。
決して劣等感を抱く必要はないが 「相手は強い」 と認めなければならない
認めた上で 自分達の戦いをし 勝つことへの最良の選択をする
それが出来れば チームはもっと強くなるように思う。
レッズとコンサドーレでは 現段階での力の差は歴然だが
守備意識の高さ 結果重視の試合運び という意味では非常に似ている。
ドイツという共通点がある以上 似るのは必然だが そのレッズでさえ萎縮した。
レッズとミラン コンサドーレとJ1。力の差がある中での戦い。
そのシチュエーションはまったく同じと言っていい
だからこそ レオナルドは言った
戦う前から 負けてはいけない と。
その厳しくも 温かい言葉を しっかりと受け止めて
自分達への言葉と受け止めて
来年の 「戦い」 に挑みたい。