昨年 練習を見に行くと 必ずブルーノが目に入ってきた。
どんな練習も真剣に取り組み 時には声で 時にはプレーで 活力を与えていた
そうして自然とチームを引っ張っていたように思う。
そこにあった ブルーノの存在感。 そうして生れた チームの一体感。
昨年 躍進の原動力は ブルーノの存在なくして語れない。
そのブルーノを失った。
抜けた穴は埋まるのか?それが気になる。
「頑張ります ではなく 頑張りましょう」
この言葉にあるように ブルーノには 「一緒に」 と言う意識が常にあった。
プロ選手は言わば 個人商店の集まりだから 基本的には 「自分」 が最優先になる
自己管理し 自己鍛錬し その集合体がチームという形になっているのだ
そこがアマチュアと決定的に違う所で ドライな所を持たなければ長続きはしない。
だがブルーノは少し違い 自己鍛錬しながら 「チームに何かを与えよう」 というのが
感じられた。それが 「一緒に」 と言う意識ではないだろうか。
日々の練習で ブルーノは 「頑張りましょう」 を発信していた
それは 言葉ではなく 行動で。
いつしかチームは一体感を生み 一体感は結果を生んでいた。
それは同時に 「ブルーノへの信頼感」 を深めて行ったように思える。
ブルーノの良さは こうした 「精神面での支え」 だったように思う。
プレー自体は時々大きなミスもあり 不安定な所も見えたのだが
精神面での強さは チームに安心感を与えていたのではないだろうか。
例えば 曽田や西嶋はパニックになりがちな選手で ミスをしたり 崩されたりすると
混乱が目に見えて分かるタイプだった。だが昨年 両者はほとんどそうなる事なく
ミスや崩されても 落ち着いた対応が出来ていた。
シーズン当初は それがなぜか分からなかったのだが 練習を見に行き
ブルーノの存在感を確認する事で 何となくその理由が分かった。
「ブルーノがいる」 と言うことが 彼らに落ち着きを持たせたのだろう。
また ブルーノ影響はDF陣だけではなく 他のベテラン選手にも大きかったはずだ。
ベテランと呼ぶには少し気の毒だが 例えば池内や西谷 砂川といった中堅の選手も
自分より年上の しかもブラジル人選手が 練習を真剣にやるのだから
自分らも手を抜くわけには行かない そんな雰囲気を作り出していた。
それは同じように 他のブラジル人選手にも影響を与えていたはずだ。
ダヴィ・カウエ・イタカレ といった若手のブラジル人が ブルーノの影響を
受けないはずはない。3人とも初の日本 どんな国かも どんなサッカーかも
分からないまま来日し その手本となっていたのがブルーノである事は間違いない。
もしもブルーノがいなければ ダヴィやイタカレは もう少し我がままな選手のような
気がしたが そういった意味ではブルーノがいい抑えをしていたのではないだろうか。
今回 アルセウの件も もしブルーノ的な存在があれば また違ったのでは と思う。
と 今更 失った選手を褒めても何もならないのだが
居なくなった今 そこをどう埋めるのか と心配になっている。
戦力的にはそう変わらないかもしれない だが 精神面での支えを失った事が大きい
誰がそこを担うのか?
たぶん 埋まりはしない。
ブルーノの代わりになる選手はいないだろう。
芳賀とも 大塚とも違う ブルーノの持っていた存在感。そして影響力。
それを補う選手は 今のコンサドーレには いない。
だが いないなら いなくてもいいチームになればいい。
1人の圧倒的な存在感がないのなら 全員が補い合えばいい。
1人の強い影響力がないのなら 2人 3人で引っ張って行けばいい。
足りないからこそ 力を出し合うチームになればいい。
そうして生れる一体感は 本物なのだから。
08年のコンサドーレは 頼る支えを失った。
だが 「失ったからこそ 伸びたチーム」 であってほしい と切に願う。