プロスポーツ = エンターテイメント
昨日プロスポーツの定義みたいな事を書いて 最も重要なのは 「エンターテイメント」
であるとしました。金を払う または貰う以上 見る側もやる側も その意識が必要だ
ってのが持論であります。基本は 楽しむ事 楽しませる事だ と。
で いつからこんな風に思ったか と考えてみて 思い当たったのが 吉原宏太でした。
高校選手権で 「大会は就職活動!」 と宣言してて 「こういうのが出てきたか…」
と何とも言えない呆れた気持ちになったのを覚えています。
私がサッカーに興味を持ったのは 随分古くて もう30年以上前ですから
当時はサッカー自体マイナーでしたね。超マイナースポーツ。
やるのは野球落ちこぼれ組か アマノジャクか 素行不良かって感じでしたから
イカツイのが多く 日は当ってない っていう ちょっと寂しいものがありました。
で そんなスタート地点から十数年 サッカーの裏街道状態は全く変わらずでした。
ところが 「プロ化構想」 なんてのがニュースになって その時は驚きましたね
まさか日本でプロサッカーなんて 考えてもなかったですし まず 「実現しない」 と
思ってましたからね。楽しみな反面 「やっても見に来る人 いないだろ」 と思って
ましたよ。もう根っからの日陰者が身に付いてましたから。
ただ 92年ですか アメリカW杯予選があって 急に脚光を浴びたのは。
それまで日本リーグはおろか 代表戦だって取り上げてなかったテレビが
連日 「サッカー!サッカー!」 で 何かもう 一夜にして変わった って感じでね。
しかも翌年にはJリーグが始まった。でまたそれも大盛況。もうシンデレラですよ。
開幕戦の ヴェルディvsマリノスを見ながら 夢気分と言うか それはもう…。
ただ 加熱するサッカーフィーバーと相反して 何かちょっと 違和感と言うか
「いずい感じ」 があって 「このケバケバしさはなんだ!」 みたいなね。
それまでの湿っぽさがどこにもなくて 喜びと多少のショックがありましたよ 当時。
マイナーさが良かったわけじゃないんですけど いざ日を浴びると戸惑う感じで
その戸惑いの原因が 吉原宏太の発言によって分かったんですよ。
彼が選手権で言った 「Jリーグの皆さん よろしくお願いします!」 ってのは
バカ明るさの象徴みたいなもので ましてそれがサッカーファンの聖地でもあった
選手権ですからね。汗と涙と青春の選手権を ヤツは就職活動だ と…。
それを聞いた瞬間は 「この馬鹿モンが…」 とワラワラ来ましたよ
派手になればなるほど こうした選手の出現が目立って その度 違和感がある。
それが戸惑いの原因でもありました。でまたもっと原因を突き詰めれば
プロサッカー自体を どう捉えるか って事なんですが そんなもの考えてもいない
「サッカーはサッカーだろ」 って思ってましたね。ただ時間が経つにつれ
「サッカーのプロ化」 を理解して 受け止め方を変えなきゃならんのだ と自覚しました
これからは吉原のような選手がどんどん出てくるのだから そういう気持ちで
見なきゃならんのだ とね。そこにうら寂しさと言うか 時代の波を感じましたね。
ただ この吉原が札幌へ来て そのキャラクターといい 明るさといい
「今っ子」 だなと思いつつも 何か認められるものがあったんですよ。
しかも彼の場合 コンサドーレの広告塔としての働きも担ってた
本人は内心 戸惑いがあったようですが それでも望んで叶ったプロですから
やれることはやる と言う気持ちは常に持ってましたね。
そんな吉原の 選手権 札幌入団 そしてプロでの活躍 を見ていると
「プロとしてのサッカー選手」 のあり方が少し理解 出来るようになりましたね。
19歳の兄ちゃんに教えられたと言うか 「プロってそういうもんか」 と。
当時の事で思い出すのがあって 私らがよく行く店に 吉原も時々来てて
軽い挨拶を交わす程度にはなってたんですよ。で ある日 知らないおっさんが
吉原にサインを頼んだそうで そこまでは普通に応じてたようです。
ただそのおっさん 何を思ったか 「今 履いてるスリッパをくれ」 と言ってきたそうです
でまた吉原は断らなかった と。そのおっさんの履いてるスリッパと取り替えた と。
ただあんまりにも切なかったのか 私の所に来て ちょっと愚痴ったんですね
そんなの聞いたら 黙っちゃいないですよ。すぐに皆で探しに行きましたよ オヤジを。
仲間の中には血相変えるのもいて ちょっと物騒な感じになったんですが
吉原が 止めましてね。みんなを。
「大丈夫ですから」 って。 「そういうつもりじゃないですから」 って。
その時 感心しましたね。何回も 「それでいいのか?」 って聞いたんですけど
「こういう事もプロの内」 ですからみたいな事を言ったんですよ。
その時からかなぁ 「プロ」 と言うものに対しての見る目を変えたのは。
それと同時にプロってのは年齢やキャリアじゃなく「意識」なんだなと思いましたね。
サッカー自体はスポーツである事に変わりはないんですけど
プロサッカーとなれば やはり エンターテイメントであってほしい と思います。
また選手の意識も エンターテイナーであってほしい とも。
19歳の兄ちゃんがすでに持っていた プロ意識とエンターテイナーとしての質
それは自分のサッカーを見る目を大きく変えたように思います。
それまでは地味で それでも懸命に走るのがサッカーだったのですが
時代の変貌と共に 華やかで 楽しむ場所 としてプロサッカーがあるように思います。
日本にはアマチュアイズムがまだ色濃く残ってて スポーツをエンターテイメント
として捉える事に抵抗があるように思います。スポーツ=競技という意識が強くて。
エンターテイメントと言うと 派手さや収益を先にするみたいな感じがあって
そこら辺が 何となく嫌悪感を感じるところなんでしょうかね。
ただ 現実には金を払って 金を貰って行われるものですから 「競技」 だけではなく
やっぱり 「興行」 なんですよ。だから スポーツであって 戦いであって
その上にエンターテイメントあるべきだ と思ってますね。
新庄が3年掛けて 野球のエンターテイメント性をアピールして 客観的には
好きじゃないパフォーマンスでしたが やる事の意味は大きなものがありました。
その成果も十分に出ましたし。それをコンサドーレに求めはしないんですけど
意識の上では持ってほしいかなと思いますね。アピールする意識を。
幸いコンサドーレには 西や岡本のように プレーにエンターテイメント性を
持ってる選手がいます。しかもまだ若いですし 彼らの感覚がもっと波及して
「見せることを意識したプレー」 が増えたなら少しづつ変わるのかなと思いますね。
だから彼らには持ち続けてほしいですし コーチ陣はそこの才能を潰さないよう
してもらいたいと願いますね。削られて去った選手はたくさんいますから。
プロスポーツ=エンターテイメント
この持論は おそらくずっと変わらないでしょう。とにかく楽しく 面白く。
サッカーを見つめる視点は まず動く事のないものかと思います。
ただ 「応援」 と言うスタンスになると これ また話しが違って来るわけだ!
それは またいつかの機会に書きます。