サッカーに対する感情で 最も厄介なのは ジャッジへのストレス である。
スタジアムで一番 沸くのは ゴールシーンなのだが それと同等か 人に拠っては
ゴール時よりも MAX張り切っちゃうのが 「審判への攻撃」 だ。
確かに サッカーの場合 不可解なジャッジが多い。「ホームアドバンテージ」 という
言葉がまかり通ってるように 「多少の贔屓あり」 が前提であるからして
常に100%公正 とは言えない。でまたそれが ホームを面白くさせてもいるのだ。
ただ これが 「あまりにも」 な感じになっちゃった場合 もしくは ホームなのに
「こっち贔屓じゃないじゃん」 な場合 非常に これ
燃える のだ。
サッカーにおいて 試合中の審判は絶対権力だから 選手は逆らい様がない。
そういった痛々しさを感じつつ ましてそれが勝敗に繋がるとあれば
「なんとかせねば!」 と燃え上がるのが これサポーターの務めではなかろうか。
絶大な力を持つ巨悪と それに立向う 真白き正義の使者 この図式が出来あがる。
向うは赤と黄色の絶対権力を持つが こっちには武器と呼べるものは何もない。
だが戦わねばならぬ 今 我らが勇者の危機に 戦わずしては正義を失う
巨悪に立向う 唯一の武器 それが 「声」 だ!声で悪を倒せ!叫べ!叫び倒せ!
と MAX張り切っちゃう人が 必ずいる。
以前SSのシーチケ買ってた時 近くの席に そういうMAX張り切る おじさんがいた。
このおじさんがまた 音速のスピードで怒るわけだ。ピーって試合始まったら すぐ
「くぉりゃー!」 と叫ぶ。何モードなのかは知らんけど あの怒る速さは凄まじかった。
最初の内は横でイラっと来てたのだが それがいつもだと 段々ネタ的に楽しくなる
「今日は何秒でMAXか?」 と楽しんだ。「ピー」 「コラー!(怒)」 「おお!(喜)」 と。
で そのおじさんと別れの試合になった02年の最終戦。
あの曽田雄志 ハットの試合だ。その時の審判が 確か吉田って人だった。
この試合 負傷者続出 PK献上 そして逆転に次ぐ逆転 と伝説となった一戦で
逆に言えば 荒れまくり乱れまくった試合 観客のボルテージはMAXだったわけだ
ただ そんな試合も逆転勝利に終わった事で 何とか沈静化したのだが
おじさんは そうじゃなかった。
勝ったけど 腹の虫が治まらない。ダントツ最下位シーズンの怒りまでも加算され
おじさんの審判に対する怒りはMAXどころじゃなく 「お祭り」 状態だった
何かワッショイ!ワッショイ!って頭の上にミコシやら太鼓やら笛やら見えたのだ。
で このおじさん 試合終了直後から ずっと 「吉田ー!吉田ー!」 と叫んでたのだが
審判がSS席の下の出入り口近くに来た時 何を思ったか 叫んだのが
「吉田ー!ちょっと来いやー!!」
だった。ツボに入った。気失うかと思うぐらいのツボ。太ももバンバン叩いて悶絶した
怒りの頂点が 「ちょっと来いや!」 だ。来いつったって来れるわけないっての。
おじさん 取り乱すにいいだけ取り乱してたから 出ちゃったのだ たぶん。
ただ怒るにしても そのチョイスが凄い。「ちょっと来いや!」 だもの。
でまぁ こういう系の 審判へのヤジはMAX張り切るって人は 確実にいる。
分からなくもないけども どうだろう? そっち方面ばっかり張り切るってのは。
得てして こういうモードに入った人は 試合どころじゃない。常に審判が気になる。
「今のはファールだろ!」 「今のはPKだろ!」 「出ただろ!」 「入ってるだろ!」 と
とにかくもう全てのジャッジが気になる。でまたギャンギャン言う。
自分も叫ぶ事はあるが あくまでそれは 「ノリ」 と言うか スタジアムがその瞬間
ワー!っと盛り上がるのが面白くて 「煽る」 に近い意味で叫ぶ事はある。
審判=悪 と言うものではなくて ジャッジを種に一体感を生むのが面白いのだ。
でまた 「ジャッジへの不満」 で特に腹が立つわけでもなく 「それもあり」 ぐらいに
見ている。たぶん試合に集中し過ぎてて 審判にまで気が回らないのだろう。
だからだろうか そういうモードに入った人が 試合中 ずっと文句を言ってるのを
聞くと 「なんでそんなに気にするかな」 と思ってしまうのだ。要するに
審判 見るより サッカー見てた方が 面白いよ。
と言うこと。だって 勿体ないのだ。せっかくホームチームの試合があって
スタジアムまで来たり テレビの前で見てたり そういう楽しい時間なはずなのに
選手とゲーム以外の所で ストレス溜めるのは。まぁジャッジもゲームの内だが
それはそれで上手く感情を捨てなきゃ 不満ばっかりが積もる怖れがあるのだ。
それでも怒りはたぎるかと思う そういう時は出来るだけ 応援の方に向けるとか
敵対心という感情では 相手チームの方に向けるのが正しいのかな と。
と 言っても 腹が立つものは立つ。時には無茶苦茶な審判もいるわけだ。
実際 去年の愛媛戦の カラなんとかさん のように イエローばんばん出しちゃって
試合自体をコントロール出来ない審判がいるのも事実なのだ。
そういう審判さんは ビシバシ突っ込んで 鍛えてやった方がいいんじゃないかと
思わなくもないわけだが その辺どうなんだろう 少しは成長したのだろうか。
特にJリーグは 「裁く」 って理念でジャッジしてるように思うのだが
プロの試合だとジャッジも含めた興行だから 判定も 「観客を楽しませる事」 に
含まれてなきゃダメかと思うのだ。それは決して 「甘くする」 とかではなくて
「試合に不満を持たせない」 って事が重要ではないかと思うのだ。
カッコ良い言い方をすれば ゲームの 「演出家」 みたいなもので さり気なく
それでいてつつがなく試合を楽しんで貰えるようなジャッジをすべきかと。
あまり かしこまって 「オレが裁く」 って感じだと 返ってゲームが荒れて
しかも観客にもストレスを与える。自分も出演者の一員だと思ってくれれば
ちょっとは意識的に変わるのかな と思うのだが それは無理なのか。
ジャッジや 審判そのものの問題は 今後の課題である事は間違いないわけだが
それは我々パンピーがいくら騒いだところで どうかなるものでもない。
それよりも まずは自分。ジャッジに対してイライラーっと来る その感情
そして蓄積されるストレス。これを持ってても何の得にもなるはずもなく
「不満を上手く捨てる」 ってのが 一番の対処法 かと思うのだ。
チームや選手に対してのストレスなら 勝ちや活躍で 解消される事もある
だが 審判へのストレスとなると 解消法がないと来たから これ厄介だ。
であれば ストレスを持たないようにするか 持っても上手く捨てるか しかない。
少しイラっと来ても 「それもサッカー」 となだめるのが最善かと思う。
その上で 試合に集中して 応援して ゲームを楽しんで
1試合に1回ぐらいは ヘボジャッジにMAX張り切って 一体感 作って
そうやってサッカーを楽しめればいいんじゃないだろうか。
かと言って 昨日の中国戦。あれは 「ちょっとどうか」 と思うが…。