J1になったら スーパーなチームになる! と思ってた。
J1になったら スーパーな選手が来る! と思ってた。
J1になったら スーパーなプレーばっかり! だと思ってた。
J1になったら 曽田は代表に呼ばれる! と確信してた。
だけど 違うぢゃねぇか コンサドーレ!
と 双眼鏡が申しております。
今年 J1仕様のため新調した双眼鏡君が申しております。
リーグ戦を13試合終えて 3勝9敗1分 勝点10。18チーム中17位。
この成績を嘆いてるのは 誰あろう 我が家の双眼鏡君だ。
今年 J1で戦うにあたって まずやったのが この 「双眼鏡君 購入!」 だった
開幕前にカミさんが 「やっぱし 双眼鏡は買わなくっちゃ!」 と言い出したのだ。
今までもあるにはあったが 1980円のちゃちなヤツで これがどうも良くない
見える事は見えるのだが 中山のスーパーシュートもダヴィの1対1決定的場面も
ことごとく
外して いや見づらかったのだ。 あれはおそらく 双眼鏡のせいだ。
多分 双眼鏡さえ良ければ それらのシーンはハッキリ見えていたに違いない
安い双眼鏡を買ったばかりに 彼らの大活躍を見逃してしまったのだ きっとそうだ
そんな反省から 「今度は もっとしっかり見えるヤツを!」 と購入を決意した。
双眼鏡さえ新調すれば 選手の大活躍は保証されたようなもの。
まして今年はJ1。代表選手を相手に スーパーなプレーを見せ続ける選手たちの
最高の輝きを逃してはいけない と確固たる信念を持っていた。
あれは2月の末。札幌はまだ雪の残る舗道を 双眼鏡を買いに車を走らせた。
走り出して少ししてから ふと疑問を口にした 「双眼鏡って どこで売ってる?」 と。
カミさんは 「知らんー」 と笑った。仕方なく オレも笑った。 だがその後 沈黙した。
暫くしてもう一度 聞いてみた 「どこにあるかな」 と。答は同じ 「知らんー」 だった
少しイラっと来た。じゃあ 俺達は今 アテもなく走ってるのか?それじゃダメだろ
オシムが言ったのは 「考えて・走る」 だ。ただ走りゃいいってもんじゃない
そうだろ 俺達はM下から学んだじゃないか!ただ走るだけじゃダメなんだ!
そう思い 考えた。双眼鏡をどこで買えばいいのかを。
前のよりもっとしっかりしたヤツで 決定的場面も見逃さないヤツを探し出すべく。
取り合えず ヤマダ電機に行ってみた。
あった。
意外なほど あっけなく見つけた。
ヤマダ電機の双眼鏡コーナーには20点ほどのラインナップが勢揃いしていたが
あると思っていなかったから 心の準備が出来てなく 焦った。超焦った。
突然の決定的場面 これじゃまるで 「急にボールが来た!」 じゃないか!
こんな時 気をつけなければならないのが 焦って打たないこと。
闇雲に決めてはならない。そんな大事な事をW杯で Yなぎが 教えてくれただろ!
と思い直し 一旦 落ち着いてから吟味し始めた。危うく3千円のを買うとこだった。
そうして もう一度 商品を眺めた。あらゆる品を手に取り 覗いてみる。
ヤマダ電機内を双眼鏡で覗きまくるのだ。それも おじさん おばさんの2人がだ。
いつ放り出されても仕方ない行為だが その時は真剣だ。超真剣で覗く。
「おーこれスゲー!」 「こっちも凄いよ!」 フロア内の到る所を覗いては感激した
さすがに 今までの¥1980双眼鏡君とは一味違う。見えまくるのだ。
そうして吟味に吟味を重ねた結果 一台の双眼鏡君に決めた。
ナシカと言う知らないメーカーの双眼鏡だった。
8-30×21となってる。大きさは今までのと同じ位で 持ち運びに便利なサイズだ
だが これは性能が違う。あらゆる距離でもピントを合わせる事が出来る
値段は2万円位だったろうか。前より10倍の値段だが それでもお得な感じがした
メーカー名はナシカだが アリかナシかで言えば アリだったのだ!←Great!
さて ここでちょっと視点を変えてみよう。
ここまでの行動を 双眼鏡君側の視点から見たら どうだったろうか と。
双眼鏡君はいつ誰に買われるか分らないままコーナー下の棚にいた。
今日こそは 明日こそは と自分が買ってもらえるのを心待ちにしていたのだ。
そんなある日 1組の中年夫婦が来た。なんか目が血走ってるヤツらだ。
「こんな人に買われるのは ちょっとヤダなー」 とか思っていた
幸い中年夫婦は別の安い商品を手に取っていたので 双眼鏡君は少しホっとした
だって どうせ買われるならバードウォッチングや大自然の美しさを満喫するなど
そういう素敵な事に使ってくれる人の方がいい。そんな風に思っていたのだ。
だが今 目の前の2人は どこをどう見たってアウトドアーな方じゃない 品格もない
「頼むからオレを買わないでくれよ」 そんな願いが双眼鏡君にはあった。
がしかし ホッとしたのも束の間 手に取っていた双眼鏡を一旦 置き
あろう事か ナシカの双眼鏡を掴んだのだ。「やめて!オレじゃないヤツにして!」
双眼鏡君は そう懇願した。だが おっさんおばさんに止める気配はない。
何度も覗いては 「フム」 と満足気な顔をしている。ダメだ!ヤメて!買わないで!
双眼鏡君の悲痛な叫びは聞こえるはずもない。双眼鏡君は棚から出たくなかった
こんな人に買われるぐらいなら 返品された方がマシ!とさえ思っていた。
だが 現実は無残にも訪れる。
鷲掴みにされた双眼鏡君はレジへと運ばれた。
双眼鏡君は思う 「あーボクの願いは 儚く消えた・・・」 と。
後ろの座席に置かれ 絶望する双眼鏡君。もはや活躍の場は絶たれたのだ。
だが そんな沈んだ気持ちも おっさん おばさんの会話から光明が射した。
「これでさー J1の活躍が見れるねー」
なに・・・ おばさん今 何て言った?ジェイ・・・ワン・・・? J1と言ったのか?
いや確かに聞こえた おばさんは はっきり 「J1」 と言ったのだ。
そうか この人たちはJ1を観るため僕を買ってくれたのか!双眼鏡君は喜んだ。
鳥や大自然を観察する人たちじゃなかったが スポーツ観戦も立派な活躍の場だ
しかもそれがJ1とあらば 双眼鏡界のトップステージではないか!
土壇場からの大逆転とも言えるシチュエーションに 双眼鏡君は躍り上がった
これはまるで今朝のトルコじゃないか! 0-2から大逆転したトルコじゃないか!
録画だって分ってるのにウォウォーわめくほどの奇跡を見せたトルコじゃないか!
双眼鏡君 「いやー 良いご夫婦に買ってもらった ありがたい」
双眼鏡君は そうシミジミしながら 心地良い揺れと共に ご夫婦の家へと向った。
おぃおぃ話しが違うぢゃねぇかコンサドーレ!
双眼鏡君は怒ってる。カンカンに怒ってる。
スタジアムで自分が大活躍するものだと思っていた。てっきり思っていた。
曽田が宙高く舞い 完璧に抑え 中山元気が鬼形相プレスからゴールを奪う。
ダヴィが1対1を楽々決める。芳賀が噛みつきまくる。クライトンが親指を立てる。
居並ぶ代表選手を相手に コンサドーレの選手がスーパープレーを見せる。
そして完膚なきまでに相手を叩きのめす。
そんなシーンを映し出せると思っていたのだ 双眼鏡君は。
だが現実はまったく違うじゃないか。それどころか 叩きのめされてるじゃねぇか!
誰の活躍も映し出してないじゃねぇか!オレ 全然 活躍してねぇじゃねぇか!
そう嘆いているのだ。怒っているのだ。双眼鏡君は。
そう嘆くのも分る。だけどな ちょっと待てよ 双眼鏡君よ。
確かに 今 コンサドーレは弱い。せっかく買ったあんたも大して役に立ってないし
だから その怒りや憤りはは分るよ。でもさ まだ途中じゃないか。
これからだよ これからさ あんたが大活躍してくれると思ってるんだよ。
高木がPK止めるよ。クライトンがズバっとミドル決めるよ。芳賀がガブっと噛むよ
西だって 藤田だって 岡本だって これからだよ。これから活躍するんだよ。
みんな ちょっとJ1に慣れてなかっただけで もう慣れたから大丈夫じゃないかな。
しかもだよ これから中山とか 西嶋とか 曽田だって帰ってくるんだから
どうこれヤバくない?皆 戻ったら 優勝とかヤバくない?代表だってヤバくない?
まぁそこまで凄くないにしても このままなわけないよね。
多分 今もジワジワと強くなってんじゃないかな。そうだよ きっと良くなるさ。
な だからさ そんなに怒らないで 素晴らしいシーンを映しておくれよ。な。
双眼鏡君 「了解!」
確かに自分 勝手に 最初っから勝つもんだと思っておりました。
J1に上がったなら 必然的にスーパーなチームになるものだと思っておりました。
ですが 違うのですね。上がってから強くなるチームもあるのですね。
私は今 そういう進行形を映しているのですね。それは光栄なお仕事なのですね。
何かそう考えると 非常に重要な任務のように思えます。ありがたい。
では わたくし 大活躍の時が来るまで しばし待機しております。
これからは見逃しませんよ。コンサの選手が活躍する姿を全て映し出しますよ。
あーそう思うと漲(みなぎ)ってきました。 早く再開して 活躍したいですよ。
もう一度 心からお礼を申し上げます。買って頂いて ありがとうございました。
オレ 「いやいや どういたしまして」
と そんなやり取りがあるはずもないが。
ただ 活躍の場がほとんどない双眼鏡君には ちょっと気の毒な気もする。
もう少し他の活用法があればいいのだが 確かにウチはアウトドアーではなく
鳥も見なければ 大自然も満喫しない。ましてタシロ的使用などするはずもない。
双眼鏡君はスタジアムで いつも寂しくバッグに戻される運命にあったのだ
そんな彼には 若干 申し訳なく思っている。
だが これからではなかろうか。
これからこそ双眼鏡君が活躍する時が来るのではなかろうか。来る。必ず来る。
それは予感でもなく 予想でもない。確信だ。間違いなく彼は活躍する。
曽田も西嶋も クライトンもダヴィも 芳賀も柴田も 西も藤田も みんなの活躍を
このナシカ双眼鏡君は映し出してくれるのだ!それは間違いない!
買って良かった!そう断言出来る日が近いはずなのだ。
その時が来るまで もう少し待ってておくれ 双眼鏡君。
これから訪れる君の活躍に期待しよう。
ただ サザンの横浜公演が その最初かもしれないが。