グラウンドは広く 1年は長いけども
最後 勝敗を分けるのは つま先 ひとつの戦い である。
土曜の入れ替え戦が終わって これで今季のJリーグが全て終了しました。
今年は 名古屋や大分の躍進があったり ジェフやジュビロの降格危機があったり
上も下もこれまでとは違うチームが顔を出していて 異様な混戦となっていました。
結局 優勝はアントラーズ 降格はコンサドーレ・ヴェルディ という妥当な結果に
なったのですが こうした混戦は 単に好不調が影響したものではなく
「Jリーグが過渡期を迎えてる」 と言えるからじゃないでしょうか。
過渡期を迎えた原因は 様々な理由があるでしょうが 一つはやはり 「金の問題」
ビッグクラブと そうでないクラブの差が如実に出てきたから じゃないでしょうかね。
これまでも差はありましたが 毎年ある少しの差が 年々重なる事によって
大きな差に広がった と。それが今は ハッキリと表れるようになってしまった と。
そういう事じゃないかと思います。こうなって来ると 今後 金のないチームは
ますます苦しくなって行くのかな と思いますね。
もう一つは。こっちの問題の方が大きいのですが 思うに
「チーム作りに 手を抜いたクラブは脱落して行く」 と言う事じゃないか と。
今年 常に上位にいた鹿島や大分は 長時間を掛けてチーム強化をしています
またガンバや川崎も同じ そう簡単に揺らがない強さを持っています。
川崎に関しては 後半のやり方に疑問視はありますが 基盤はしっかりはしてますね
意外だったのは レッズの崩壊と名古屋の躍進でしょうか。
で 強いチームは それなりにしっかりしたチーム作りをしているのに対し
下位のチームは やっぱり 「緩み」 が見える。降格という恐怖があるから 常に
「場しのぎ」 を繰り返して 結局 チームの基盤に厚みを持たせられないわけです。
上位チームのほとんどは 日本人を中心に 足りないピースとして外国人を と言う
作りをしている事からも やはり日本人選手で作る基盤が どれくらい高いかが
強いチームを作る鍵じゃないでしょうかね。
まぁ その良い日本人選手を獲得できないのが 貧乏チームの苦しさなんですが。
この過渡期にあって思うのは 「今後 数年間でJリーグは激変するんじゃないか?」
って気がするんですね。クラブとしての体力や プロサッカーチームとしての作り方に
脆弱な所は どんどん落ちて行くんじゃないか と。そういうシビアな時代になる と。
そう考えると これからの数年間は より真摯にチームを作らなきゃならないですし
緩みが見えるクラブには そこのサポーターが厳しい環境を作ってかなきゃならない
と思います。これからの篩(ふる)いは 本当にシビアなもので 振り落とされたチーム
は最悪の事態まで考えさせるものでしょうから。
こうした Jリーグの今後を数年間という長いスパンで考えて そこに怖さはあるものの
「つまりは ちゃんとしたチームを作って行けば 恐れるものではない」 と思いますね。
Jではまだバックアップも 選手層も流動している時なのですから 今いくら好調で
あろうとも 不調であろうとも形勢を変える事は そう難しくないと思えるわけです。
また 今 上位にいるチームと下位のチームの差も 致命的と言えるほどではない
であれば逆転の可能性は まだまだ残されているのが Jリーグだと思いますね。
それは今年のヴェルディを見ても 納得は出来るはずで このチームが今年2度目の
降格をして 今現在 あらゆる窮地に立たされているわけです。
この状態を僅か10数年前 J開幕の時に誰が思ったでしょうか。名門中の名門が
華やかな活躍のまま 優勝を飾り 「Jの象徴」 とも言えたクラブが 僅かな年月で
ここまで落ちて来たわけです。1度の降格ならアクシデントとも言えるのですが
2度目となれば 不運では済まされない問題が このクラブには存在するわけです。
また もう一つ過渡期を思わせるものとして ジュビロの入れ替え戦参入があります。
あれほどの強さと華麗さを誇ったチームが 今年 入れ替え戦に加わった
その事実が サッカーファンとして衝撃でもありましたし 同時に 「危険な時代」 に
突入した事を感じましたね。ただジュビロの場合 緩んでいるとは思えないんですよ
真面目にサッカーに取り組んでいる そう思うチームですし それも 場しのぎではなく
長い時間を掛け ジュビロのペースで しっかりと作り上げているようにも思えます。
だからこそ 「そのチームがなぜに?」 という疑問は 今も拭えませんね。
個人的には 山本昌邦氏の罪は 決して小さくない と思いますが。
近くにあるチームじゃないですから 原因を究明する事は出来ませんが
ただ このジュビロやヴェルディの停滞は 決して偶然じゃないと思いますね。
一時代を築いた2チームが 降格した 降格危機にあった という事実は 少なくとも
アクシデントではなく 「過渡期と言う時代の波にのまれた」 と思っています。
そして この時代の波を征するのは しっかりした運営と しっかりしたチーム作りをした
クラブじゃないかと思いますね。だからこそ ここからは真摯に作らなきゃならないと。
ただ 強いチームを作るのは クラブの運営力であったり 選手の運動能力であったり
そういう大きなバックボーンがある事は間違いないんですが それでも思いますね
サッカーの試合 勝敗を決めるのは
最後の最後 つま先ひとつ の戦いなのだ と。
先日の入れ替え戦。ジュビロvsベガルタの2戦目。
松浦の2ゴール 2-0でジュビロがロスタイムに突入して 残り1分でリャンが決めて
2-1になってからの60秒。その攻防が 結局 「サッカーの全て」 じゃないかな と。
ベガルタ右サイドからのクロスに 川口が飛び出す 目一杯伸ばした手で弾く
弾かれた先にいるのはベガルタ選手 シュートコースを消す ジュビロDF
2度打ったシュートは 結局 枠をそれた。そしてタイムアップ。
この時間にして僅か10秒足らずが 来年の1年間を分けたプレーになったわけです
そこで入れれるか 防げるか そのつま先ひとつの攻防が J1とJ2を分けたのです。
その場面を気迫で作ったベガルタ 追い詰められて 尚且つ 防いだジュビロ
両チームの魂が あの一瞬に映し出されていた様に思います。
そして テレビを見ながら改めて思いました
それが サッカーなんだな と。
どれほどグラウンドが広かろうと
シュートを打つのは 僅か数センチの隙間。それを防ぐのも 僅か数センチの つま先。
その つま先までに 「負けない」 という魂が宿っているか どうか。
どれほど1年間が長かろうとも
勝敗を決めるのは僅か数秒の一瞬。その一瞬の結果が1年であり 歴史になると。
そして どれほどの歴史を持っていようと どれほどのバックボーンがあろうとも
結局 その僅かな差を埋められなければ 淘汰される運命にあるのだろう と。
そういう事を もの凄く感じた試合になりましたね。今回の入れ替え戦は。
残ったジュビロも 上がれなかったベガルタも 来年また正念場を迎える様に思います
それまでどんなチーム作りをするのか?どこまでしっかりやれるのか?
そうしたシビアな環境になる様な気がします。またコンサドーレも全く他人事じゃなく
今年 少しづつ足りなかった力が 結局の所 大きな差と感じたわけですから
その小さな差を 少しづつ埋めるべくして 努力して行かなくっちゃならない と
本当の意味で プロサッカーチームを作って行かなくっちゃならない と思いますね。
もう 場しのぎは通用しない時代なのですから。
過渡期を迎えたJリーグにあって ヴェルディの降格や ジュビロの入れ替え戦参入は
その象徴に思います。「強いチームは いつまでも強い」 という神話は 消滅した と。
これから生き残りを懸けた戦いを征するために まずは我々が厳しくあって
その上で チームを厳しく見る そういう目が必要に思いますね。緩んだら 尻を叩く
これからのサポーターは そういう姿勢を より強く持つべきなのでしょうね。
ともあれ ひとつの危機を乗り越えたジュビロには おめでとう と。
そして この恐怖を 次の時代の糧に ぜひしてほしい と思います。
あの残り10秒の怖さは 絶対 忘れちゃならない と。
結局 最後は つま先ひとつの戦い。
そこにサッカーの怖さがあり サッカーの面白さがある。
改めて それを感じた入れ替え戦になりました。
■ Jリーグ J1・J2入れ替え戦 第2戦 ジュビロ 2-1 ベガルタ
2戦合計 ジュビロ磐田 3-2 ベガルタ仙台 (ジュビロのJ1残留が決定)