征するは 豪功か 堅守か。
さて いよいよ明日は選手権決勝です。
毎年 毎年 この1試合は 楽しみであると共に 「あー終わるなー」 って言う
悲しさが襲ってくる 何とも嬉寂しい決戦前日であります。
昨日は準決勝の2試合を見ましてね。いや面白かったですね。
1試合目は 功対功 2試合目は守対守 とハッキリした色合いの対戦になってて
それぞれに凄みと面白さがある試合になってましたよ。
■ 鹿児島城西 5-3 前橋育英
両チームの個人技が素晴らしかったですね。特に勝負球の精度が。
例えばセンタリングにしても 両チームとも多種で 素晴らしいボールが入る
上がった瞬間に ゴール前 ギリギリの攻防が見えてくるようなボールばかりでした。
そして もっと驚いたのが シュートの精度。ほとんどが枠に行ってましたからね
最近の高校生は まったく恐ろしいですよ。なんだろなー あの正確性は。
前橋育英は 岩沼世代の時にえらく感動しましたね あの時は岩沼だけじゃなく
5~6人 「個の強い選手」 がいて しかもバランスの取れてたチームでした。
今年のチームも同じく 個の強さとトータルバランスに優れてて 優勝候補だったのは
間違いないでしょうね。前半 立て続けに取った3点には 確かな力を感じましたよ。
ただ これまでは守備の強さも誇ってたんでしょうけど 鹿児島城西との対戦では
相手の土俵で戦ってしまったのが 残念でしたね。上手く試合をクローズできれば
勝機はあったのかな と。ただ敗れはしましたが 前橋強し の印象は残しました。
一方の 鹿児島城西。げに恐ろしき攻撃力。なんだろうなぁ あの破壊力は。
猛攻とか強攻とかいう言葉はありますが それを越えた 「豪」 ですよ。あれは豪功。
5試合で27得点ですからね それも満遍なく取ってる いや恐ろしい得点力です。
ただ一方で 失点も多い。完封なしの11失点。この数字が表すように
「守備意識」 と言う意味では かなり薄いチームですね。しかも対人には弱い
普通なら勝ち上がるのは難しいチームなんですが それを補って余りある攻撃力。
サッカーファンを喜ばせるには 申し分のないチームスタイルですよ。
そして やっぱり触れなきゃならないのは エース大迫君。
あの柔らかさ あのテクニック あの正確性 オールマイティで良い選手ですね。
で 何より良いのは 5試合連続ゴールを挙げてる所。要するに どこのチームからも
ゴールを挙げれるってのは選手としての強みですね 得手不得手がないんですから
残す1試合でゴールを挙げれるか 新記録を作るか 期待しますよ。
鹿島に入るそうですが これからどんな選手になるのか楽しみな素材ですね。
また この大迫君が注目される中 同じく5試合連続ゴールを挙げた野村君
彼の存在も 見逃せないですね。こんな選手が2人もいるなんて本当に凄すぎます。
豪功の鹿児島城西が 決勝でもその力を発揮できるか?
自分たちの土俵に呼び込む事が出来るか?それが初制覇への鍵かと思います。
■ 広島皆実 1-0 鹿島学園
第1試合がノーガードの打ち合いなら この試合は一転した 「防御戦」
これはこれで面白かったですね。また両チーム防御が特長とは言え 守り方が違う。
鹿学がオーソドックスな守りとするならば 皆実はキープで守ると言うもの。
同じ様なポゼッションスタイルながら 「守り方の違い」 が面白かったですね。
特に 勝った皆実は 「ボールキープし パスを回しながら 守る」 っていうのが
あるんじゃないでしょうか。見てて何かそう思いましたよ。
「ポゼッション」 というと 「ボールを支配しながら 攻撃する」 というイメージが
あったんですが 「キープ力を上げる事によって 相手の攻撃時間が少なくなる」
という考え方があるんだな と。それが 皆実の守備に対する戦術じゃないですかね。
で この考え方は 石崎監督も 近いものを持ってるんじゃないかと思います。
柏のプレッシングやポゼッションには 攻撃のため というより まずは守備のため
というものがあって 細かなパス回しの中で 「好機に鋭く」 という意識が伺えました。
そうしたやり方が 今回の皆実に近いものを感じたんですね。
そう見ると 広島皆実には親近感を持ちますし ちょっと応援したくもなりますよ。
「いなし」 のチームが 決勝も いなせるか。
堅守への自信を 最後まで持ち続けられれば 勝機は見えてくる と思います。
征するは 豪功の鹿児島城西か 堅守の広島皆実か。
両チームが 全く異なるスタイルの対戦。
双方が双方のスタイルを懸けた戦いがある。
この対戦は 絶対に面白い。面白くないはずはない。
その決戦は 明日 午後2時より。見逃せない。
どちらの土俵で戦うかが 初制覇の鍵になるはずだ。