W杯予選とJ2のリーグ戦 2つの試合は それぞれの通過点だった。
■ ひとつ目の通過点 「W杯出場決定」
日本がウズベキスタンを1-0で下し W杯出場を決めた。
試合内容は決して良かったとは言えないが 泥臭い岡崎のゴールと 気持ちが
見えた守備は 執念を感じ それは自分が望んだ試合でもあった。
だが なぜか大きな喜びはない。これまで2度あった予選突破の時は 泣けるほどの
喜びを持っていたのに 今回は至って淡々と決定の瞬間を眺めていた。
何が変わったのだろうか。
自分でもこの変化が不思議でならない。日本がW杯に出場する事は 今も夢の様で
その大会への憧れは 全く変わっていない。またサッカーに対する熱が下がったわけ
でもない。それでも 出場決定を淡々と受け止める自分に 少し驚いている。
日本は 強くなった。
アジアの出場枠が増え 可能性が甘くなったとは言え 今回の予選を見る限り日本に
不安はなかった。少し前までは 韓国は巨大な壁であり 中東は恐怖そのものだった
その中で日本が勝抜くには余りにも ひ弱く しっかりとした戦いさえ出来ずにいた。
その頃の一戦一戦は 常に悔しさや不甲斐なさが滲んでいた様に思う。
だが今は違う。戦いの土俵に立った上で 自らの技術を発揮 出来る様になったのだ
様々な思いが深い根を張り 太い幹となった。そうして今 しっかりと戦えている
そうした様子を見るにつれ 「日本は強くなった」 と実感する。
だから 「通過点」 なのだろう。
サッカーファンとしての夢が 「出場する事」 から 「出場して勝ち抜く事」 に変わった
のだ。いや もっと言えば 「日本の個性を発揮して 勝ち抜く事」 に 夢は変わった。
要求をひとつ上げて 本当の喜びは 来年に取っておく事にしたのだろう。
「W杯出場は ひとつの通過点」 そう思えることが 少し 嬉しい。
後は 岡田監督が掲げる 「ベスト4」 に向って 本気で取り組んでほしい。
今は誰もが笑う目標かもしれないが これからの1年で日本中をその気にさせるほど
本気で取り組めば きっと変わると思う。今の状況を あらゆる環境を 変えると思う。
サッカーの喜びを 広く伝えるのが代表の役目なのだから。
■ 二つ目通過点 「逆転負け」
試合は完全に札幌のものだった。90分の内 ほとんどの時間を優勢に進めた。
鳥栖の攻撃は大雑把なもので それは札幌対策だったのか それとも長身のマイク
が入った事による弊害なのか分からないが 以前とは違う印象を受けた。
マイクに向かい蹴り込む戦術は 決して効果的とは言えず 成功するのは5本の内
1本程度。だがその1本が精度の高いプレーになる。鳥栖には一撃の強さがあった
それでも 札幌は先制点を挙げ 追加点のチャンスも幾度となく掴んでいた。
終始 札幌のペースで試合が進み 時折ある鳥栖の一撃に肝を冷やしながらも
負けを想定する様な試合ではない。追加点を取るか 凌ぎ切るため考えたサッカー
さえ出来れば 勝点3はそう難しくないと思えていた。
だが 逆転負け。 札幌 1-2 鳥栖
またもホームゲームで 終盤の失点。今度は逆転までされた。
なぜ こうなるのかが分からない。ホームゲームのほとんどで 終盤の失点がある。
選手たちも 「気をつけよう」 としているのは分る。それでも失点しまっている。
体力が問題なのだろうか?石崎監督のプレッシングサッカーを90分通すには まだ
体力が足りてないから だろうか。それとも集中力なのか?体力が無くなり 集中力
が切れるからなのだろうか。もしくは 相手に圧され 崩壊する精神力なのか?
様々な原因が重なって こうした結果になってしまっているとは思う。
ただ ひとつに 「若さ」 があるように思う。
今年のコンサドーレは 若い選手が多い。またキャリアが足りてない選手も多い。
それは可能性という意味において面白さはあるものの 実戦ではどうしても 若さが
出てしまっている様に思うのだ。例えば 「体力の配分」 も そうだろう。
1試合90分 体力が続かないのであれば 配分を考えなければならない。終始 同じ
ペースで走り 気づいた時には足が動かなくなってしまえば やはり終盤が危険だ。
また 「思考力」 もそうではないだろうか。経験豊富な選手ならば先を想定したプレー
をする。残りの時間を考え 今 何を選択するのがベストなのか考えるのだ。
自分たちのプレーばかりを考えるのではなく 相手にプレーをさせない事や 勝利の
ために 何を優先させるべきかを選択しなければならない。そうした思考力に欠けて
しまうのが 若さなのではないだろうか。若さゆえに 常に全力で臨む。それは決して
間違ってないが 時として 幼さにもなってしまう。そこを どう成長するか だ。
意識しなければ 成長しない所である。
試合後 ソンファンが かなり悔しがっていた。
しばらく芝に倒れこんだまま起き上がらず 整列さえも遅れた。
試合後の挨拶に周る時も ひとり会場を去ろうとしたほどに。
ソンファンの気持ちは分らない。
だけど その気持ちを 想像してみた。
その前日 母国はワールドカップ出場を決めた。
だが 自分は その場には居ず 隣国でリーグ戦に出場してる。
そこに きっと 悔しさがある。
ホームゲームで 何度も何度も 終盤に失点する。
その度 来てくれる観客を 失望させる。
そこに きっと 不甲斐なさがある。
そうじゃないか と思った。
ただ その悔しさは その不甲斐なさは
大事な気持ちに 思った。
今 込み上げる気持ちは
きっと 通過点だ。
コンサドーレは 必ず 強くなれる。