かつて その地には不思議な力があった。
どれほどの劣勢であろうと 戦う者たちに力を与え 勝利へと導いた
いつしか それは 「神話」 と呼ばれるようになっていた。
そして今 厚別神話が 蘇る!
って言うほど 素敵な試合じゃあ なかったっすね。自作自演逆転劇 みたいな。
ただ 試合に行く途中 妙にあのフロンターレ戦が頭にありましてね
97年5月のフロンターレ戦。あの試合を なぜか 思い出してました。
■ 札幌 3-2 愛媛
まー前半は ブチギレるのを必死でこらえましたよ。あの動かなさっぷりには。
で 色んな事は置いといて 前半 ひとつ気になった事があったんですが。
上里・西嶋の両SBが随分 開いて 高目のポジションを取ってたんですね
開始を風上で取った事からも 「前半は攻撃的に行く」 って事だったんでしょうけど
この両SBのポジショニングが どうもバランスを崩してましたね。
前の両サイドは いつものポジショニングで SBだけが高い位置になってる
そうすると距離感が普段と違って 全体のバランスがおかしな事になってたんですね
でまた それに伴ってボールの周りも悪くなってましたし。で それを見ながら
「センターバックが修正させればいいじゃん」 と思ってたわけですよ。
ところがだ ソンファン&石川を見ると 逆に 「開け・上がれ」 と手で指示を出してる
それがよく分かんなかったですね。明らかに上手く行ってないバランスでなぜ?と。
で 考えましたね なんでそうするのか。
一つは 「前半勝負」 ってプランだったからでしょうね。ここの所 開始から全力で
行ってるのが功を奏してますから この愛媛戦も同じ様に と言うか 「もっと攻撃的に」
って考えだったと思います。そのために 両SBをより高めにさせた と。
ただ それでも解せなかったんですよ。なんせ 上手く行ってなかったですから
プランはプランであって 上手く行かないなら 修正するべきだと思いましたね。
ただ
これ を読んで なるほどな と。
「センターバック2人の距離を広く保ち、サイドバックの選手を
押し上げることで より攻撃的なポゼッションをしたい」
と石川がコメントしてるように その意識はあったかと思います。で 更に考えますと
これは憶測なんですが 石川とソンファンのチャレンジだったのかな と思いますね。
今年 コンサドーレの試合ではCBの不安定さが目立ってまして どうも中央の2枚が
晒された状態になると 危険なシーンが多かったんですね。ロングボールをバウンド
させたり 1対1のシーンで軽く抜かれたり そういう場面が多ければ多いほど
信頼感をなくす と言うか 「頼りないCB」 的な印象がありましたね。
で それはチーム内でも あると思うんですよ。正直なところ。
その辺を変えてくのは 自分らがしっかりしなきゃならないですからね
自分らがタクマしくなる事で 両SBの守備負担を軽くして 押し上げられる
そういう気持ちからのチャレンジだった様に思います。
ですから そのチャレンジは良いと思いますよ。最初は上手く行かなくても
やるしかないですからね。場数で鍛えるしかないですから。
ただ それにしてもだ。それにしても過ぎる前半でした。
動かない バランス悪い ミスが多い そんな悪いオンパレードの前半が終わる頃
横のカミさんが 「後半も このまんまかなぁ」 と聞いてきましてね
その時 また ふと蘇ったんですよ。あのフロンターレ戦の事が。
97年5月 場所はここ厚別。あの時は来れなくて テレビで見てたんですが
前半は同じ様に まぁヒドい有様な試合で。ただ当時の監督 フェルナンデス氏が
ハーフタイムでどんな指示を出すか?は興味がありましたね。
多分 ホワイトボードに細かな戦術を書いて 後半に臨んで来るだろうな と。
で ハーフタイムが終わって 選手が出てきた頃 ピッチリポーターが
指示の内容を伝えてたんですけど それが思ってたのと全然 違ってました
フェルナンデス監督は 選手に向かって こう言った と。
「お前らは それでも男か!男なら 男らしく 戦え!」 と。
驚きと感動がありましたね。それは指示ではなく 父としての言葉でした。
「チームはファミリー」 常にそう言っていた監督が あの場面で出てきたのは
紛れもなく 父としての言葉だったかと思います。また 選手も それが響いたのか
あの伝説となる逆転劇を演じたわけです。誰もが忘れない試合になりました。
そんな事を思い出しつつ カミさんの質問に
「ハーフタイムで 石崎さんからゲキ入って 変わるんじゃないかな」
そう答えましたよ。ただ そんな劇的はそうないだろう とも思ってましたけどね。
でも あるんですね。後半も失点し 0-2になった時から 変わってきました。
西嶋の折り返しにキリノが飛び込んで 1-2。交代で入った中山が次々とチャンスを
作り出してムードを高めると ハファエルの同点ゴールが生まれて。
極めつけは ダニルソンの豪快ミドル。3点とも 素晴らしいゴールでした。
後半 愛媛の足が止まった事も勝利への大きな要因でしたが それよりも大きいのは
コンサドーレの勢いじゃないですかね。愛媛には 肉体的・精神的の両面で
優ったように思います。ただ その勢いをつけたのは ハーフタイムのゲキ。
石崎監督のゲキが効いたんじゃないかな と。
まぁ かなーり怒ったと思いますよ。プランは総崩れだし 動かないし 失点するし
ホームゲームで何一つ良い所を見せられない45分ってのは そりゃ怒りますよ。
でも まぁそのゲキに応えたから 良かったんじゃないでしょうか。
勢いがついた所からは 勝ちへの執念みたいなものもみれましたし
結果 そうなりましたし。こういう場数も踏んで 強くなるのかと思います。
それと 今回 良かったな と思えるのは この試合を感動だけで終わらせてない事。
あのフロンターレ戦は実に感動的な試合でしたけど 前半がヒドかったのは
記憶に残ってないと思うんですよ。当時は 選手の動きとかあんまり気にして
なかったですからね。ただ 今は違って 「前半の悪さ」 も しっかり見てるんですね。
あの頃とは違って 見る目が肥えたと言うか。スタジアムからの帰りも 色んな意見が
聞こえてきましたし ブログを巡っても 「逆転して良かった」 だけで済ませてないのが
僕らの成長でもあると思えます。紆余曲折の中 成長してますよ 我々は。
センターバック2人のチャレンジは まだまだ成功とは言えませんが
失敗しつつも 挑戦し続けて 成長するように思います。
その気持ちは後押ししたいですね。頑張れ 石川&ソンファン いつか必ず報われる。
厚別神話 それは 今はなく。
だが 一度は途切れた神話も ここからなら あるかもしれない。
これからのチームなら もう一度 蘇るかもしれない。
09年9月6日 愛媛戦。
それが 新しい神話の始まりだ。