アスリートにとって モチベーションとパフォーマンスは 深い深い関係にある。
先週 桑田佳祐さん年末
高齢 いや恒例 「AAAコンサート2009」 が行われた。
今年は 「映画音楽寅さん」 と題し その名もズバリ 映画音楽がテーマの公演だった
その模様をWOWOWで見ていたのだが 正直な感想を言おう
今年は ちょっとハズレだ。
いや 基本線は桑田佳祐さんの自己満足&個人趣味的趣向の公演であるからして
あまり多くの期待を持っちゃあいけないのだが “コレだけのためにWOWOW継続”
という暴挙を犯してる我が家にとって 微妙に残念な空気を漂わせた事は否めない。
また この残念感は 昨年との比較にもあるだろう。
昨年は 「ひとり紅白」 と題し 全61曲を歌い上げるという前代未聞の公演を披露
したのだが 驚いたのはその曲数より 1曲1曲のパフォーマンスの高さだった。
出だしの1曲から 大トリ白組 和田アキ男 「あの鐘を鳴らすのはあなた」 に至るまで
完璧に歌い上げたそのパフォーマンスに チョーウルトラ感動したものである。
また その質の高さは DVD化までされ商品となった事でも明らかなのだ。
こうして考えると 例えキャリアのあるシンガーでも その時々によって質の高さ低さ
パフォーマンスの良し悪しは ある という事が伺えるのではないだろうか。
歌手は いつも同じパフォーマンスを発揮できるものではない。
キャリア豊富な 実力派な 桑田佳祐であっても そうなのだ。
いや 長年聴いているからこそ分かるのだが 桑田さんの調子は取分け よく分かる。
その日の1曲目 出だしで分かる。調子の良くない日は ソロリソロ~リと入り 段々と
調子を上げて行くのだが それでも声が出てない日 調子が悪い日が ある事はある。
ただそれでも凄いと思うのは 「ここイチ番」 という時には 最高のパフォーマンスを
見せるのだ。当たり前だが その時ばかりは 「さすがプロだなぁ」 と感動してしまう。
そんな桑田さんが 去年は1年を通して最高のパフォーマンスを見せていた。
昨年 結成30年を機に活動休止宣言し 同時に 「真夏の大感謝祭Live」 を行ったが
横浜・日産スタジアムで行われたこのライブ 4日間の内 2公演を観る事が出来たの
だが 2日とも 「完璧」 という他無いパフォーマンスであった。52歳という年齢にして
シンガーとしての最頂点を魅せたのである。それが何よりも凄い と思った。
52歳にして 最高のパフォーマンスを発揮した
その事について なぜそうなれたのか?非常に興味が湧いた。
普通なら すっかり禿げ上がり ゆっくりするお年頃である。ところがだ桑田佳祐という
中年はおろか 初老に差し掛かってる男がだ なぜに そこまで出来たのか?と。
しかも 横浜のライブが最頂点と思いきや 年末の ひとり紅白では 更に凄かった と。
こうした現象が起きた事について あらゆる疑問と羨望が渦巻いた
そして 考えに考えた。その結果 導き出された答えは
モチベーションが成せるワザ
だったのではないだろうか。そう思っている。
活動休止宣言をし それに伴って行うライブとあれば 気持ちも引き締めただろう
もっと言えば 78年のデビューから売れ続け ある程度の地位も確立できた が
2000年 「TSUNAMI」 が売れ出した頃は 正直 惰性も伴っていた様に思う。
実際 今 その頃の映像を見ると 桑田さんは今よりも太り たるんでいる
そして2000年夏 地元 茅ヶ崎で 伝説の 「茅ヶ崎ライブ」 が行われた
そのパフォーマンスは 正直 ファンにとってキツかった。
会場に行ったわけではないが WOWOWでその放送を見て 何か枯れて行く様な
そんな桑田さんの姿が 悲しくもあった。あんたは そんなもんじゃねぇだろ と。
ただ もしかすると桑田さん自身も同じく 思ったのかもしれない。
茅ヶ崎ライブ後から 何かが変わった様に思う。
生意気な言葉だが 「歌に対し 真摯になった」 という様な。
実際 その2000年の暮れ 同じくAAAの公演で歌った 「First Love」 は
今でも心に残る一曲になっている。きっと桑田さんの中で 何かが変わったのだろう。
その変化は 03年夏のライブツアーで 引き締まった体として表れていた
腹筋はボコボコに割れ 当時50に近い中年男としては相当 キツかったと思う
それでも そこまで追いやる事がプロ意識であり
桑田さんの うたごころでもあるのかな と思った。
こうして 年を負う毎に 自身への厳しさと 歌への姿勢を正した桑田さんは
去年 ピークを向かえていた。その根底は 悔しさや歯痒さを出発点に高めて行った
モチベーションがある様に思う。だからこそ 努力を止めなかったのでは と。
それは アスリートも 同じじゃないだろうか。
何かしらの悔しさを持つ事が 次へのモチベーションになる様に思う。
優勝や昇格の充実感も良いモチベーションになるが タイトルを獲ったチームや
天皇杯を勝ち上がったチームが 翌年 悪くなってしまうのは おそらく悔しさを
持てないからだろう。やり切った感が燃え尽きに近いものを与えるのでは と。
そう考えると マイナスの感情も大きなエネルギーなるのではないだろうか。
今年 コンサドーレが昇格できなかった事は 非常に残念ではあるが
色んなものへの蓄えとして考えれば 決して悪いことではなく
いや むしろ この時間が大事に思う。
間もなくオフに入る選手は この間にどれだけ悔しさを蓄えられるか
蓄えたエネルギーをモチベーションとして 深く強く抱える事が出来るか
そうした事が大事に思う。それは 来年のパフォーマンスに繋がるのだから。
桑田佳祐は 気持ちを切り替えてから 10年。頑張り続けた。
画面で ステージで どれだけふざけようと その志は高く保っていた。
そう出来たのは そこに応援してくれる人がいたから
そして その気持ちに応えられなかった悔しさがあったから
申しわけない気持ちが大きかったからこそ それ以上のエネルギーになった
とそう思っている。じゃなければ 10年も頑張れない。52歳で最高は出せない。
モチベーションを保つ事は難しいが きっと探せば何かある。
たくさんのマイナスも それはモチベーションとなって 燃えるエネルギーになり
いずれ パフォーマンスとなって 形に表れるのだ。