「ワタシ ケーキ ツクッテマス」 と言ったそうな。
それじゃなくても楽しそうな人なのに “ケーキ職人の陽気な外人おじさん”
とくれば もはや おとぎ話しにでも出てきそうなキャラクターですよ。
で カミさんは その人のケーキをどうしても食ってみたくなったらしく
注文したんだそうです。チーズケーキを。
それから2週間ほど経った頃。カミさんがでっかい箱 抱えて帰ってきまして
「何それ?」 って聞くと 「ケーキ」 だと。すっかり忘れてたんですよ
で 言われて思い出しまして さっそく箱を開けたわけですよ。それが これ↓
この写真じゃよく分らないですが かなりデカいです。直径18cmぐらい。
一瞬 ビビりましたよ。なんせ ウチは2人。で スイーツは担当はオレ。
アルコールがメインのカミさんは そんなに甘いもの食わないんですよ。
オレは好きですけど それでも直径108cmのケーキをガブガブ食えるほどの
ツワモノじゃない。”大丈夫かな” と思いつつ さっそく切って 食べてみた
う うまい!
濃厚だが クドくなく。程よい酸味を利かせつつ 甘さが清流のように潔い。
ヒジョーに美味いチーズケーキでした。そもそも数年前までチーズがダメで
多分 給食の四角いチーズがプラスチックみたいな味で(プラスチックは食っ
た事ないが)あれで食えなくなったんですよ。だからチーズ味が全部ダメで
チーズケーキは見るのもイヤでしたね。それがある日 ピザトーストを食べて
急に食えるようになりました。で 今は全然 大丈夫。腹 痛くなりますけど。
で この美味いチーズケーキを食しつつ。作った人が気になったわけです。
いつもそうですが 美味い物とか面白いものとかに出会うと モノよりも
作った人が気になるんですね。どんな人なのか どんな風に作ってるのか と
興味が湧くんですね。で カミさんに聞いた 「これ作った人 何て人?」 と。
エルウィン・イエーセンベルガー さん
パティシエ界の事は全く知らないし この方が有名かどうかも分らないですが
美味いもの作ってるってのは事実で。さっそくパソコンで調べましたよ。
とはいえ 調べると言っても カミさんがたまたま知り合っただけの人ですし
いくら外人・陽気なおじさん・パテシエっていうキャラクターがあっても
ネットに載ってると限らないわけで あまり期待せずに名前を打ち込んでみた
すると いくつも情報があったわけですよ。
まずはオーストリア人。ウィーンでお菓子を学び マイスターの資格を得る。
1972年にオーストリア大使館の派遣で来日。全国洋菓子大品評会金賞受賞。
経歴を見ても 凄い人物である事が分りました。なんせ ”マイスター” ですよ
知ってます?マイスター。マイがスター。それ位凄い(らしい)んですよ!
いや真面目な話し マイスターの称号を得て 大使館の派遣で来日したわけで
しかも来たのが1972年だから まだ日本に洋菓子文化が根付いてない頃。
要するにケーキを日本に伝授しに来た ”洋菓子の伝道師” なんですね。
ちなみに 石屋製菓のご意見番&技術指導もしていたそうです。
で このエルウィンさんの事を調べていくと どういうわけが
ある Jリーガーの名前にぶち当たりました。
下村東美 (モンテディオ山形)
最初は何の事だか分りませんでしたね エルウィンと下村ですから 名前に
関連があるわけじゃなく 下村の顔は知ってますが 日本人だし。2人にどんな
繋がりがあるか全く分らなかったんですね。ところがネットの情報によると
2人は 親子だと。
下村が札幌出身だってのは知ってました が それとこれが繋がると思わず
まさかの展開でした。こっちは美味いケーキを作る職人を調べてただけで
それが いつの間にかJリーガーに行き着いてると。その心境は ビックリ
ってよりキョトーン ですよ。チーズケーキ食いながら パソコン見て キョトーン。
何だか不思議な感覚でした。で このケーキ職人と下村の親子説は事実で
エルウィンさんが札幌で日本人女性と結婚し 生れた子供が下村東美でした。
【下村東美】 ポジション:ボランチ
札幌第一高校から大阪体大を経て セレッソに入団。その後 千葉へ移籍
キャプテンも務めたが09年戦力外に。昨年合同トライアウトで山形に入団。
また 祖父も 父エルウィンさんも元セミプロのサッカー選手だったそうで
その影響もあって 下村もサッカーを始めたと。血筋はサラブレッドですね。
名前の東美は ”東の美しい国で生まれた” という意味で名付けられたそうで
父親の日本に対する愛着が感じられますね。子供の頃 髪が金髪だったそうで
それが原因でイジメにあったらしく その事を両親に相談したら
「サッカーが上手くなったらイジメられないよ」と言われ 努力した と。
小学生の頃は 澤登に憧れていて Jリーグチップスのカードで澤登が出て
メッチャ喜んだそうで 今でも実家に 大事に保管してあるそうです。
と ケーキ職人を調べてたはずが いつの間にか下村東美を調べてたのですが
確かに 言われて見ると彫りの深い顔ですし ハーフ的なイケメンではある。
ただ名前が完全な日本人で まさかこんな所で結び付くと思わなかったわけで
ただ よく考えると この選手 結構 良いんですね。DNA的には申し分はなく
ハーフナー・マイクやダルビッシュでも分るように 外国人の体幹と日本人の
しなやかさ併せ持つハーフは スポーツ界の中でも良質な素材であります。
また下村は生粋の道産子ですし 石屋製菓との繋がりもあるっちゃある。
と これだけ縁があるなら もし機会があれば コンサドーレに と思いますね
ポジション的には ちょっと厳しいかもと思いますけど。
偶然が偶然を呼び チーズケーキからJリーガー Jリーガーからコンサドーレと
導かれるように流れたのですが エルウィンさんのケーキは確かな味でした。
単なるスィーツとは少し違って 何と言うか 重みや歴史を感じる と言うか。
祖国の味を伝えるため 遠く東の国まで来て 人生を懸けて 広めたわけですし
それが今我々の食べる物に様々な形で息づいてる そんな事まで感じました。
ただ 直径18cmを やっつけるのに4日間 費やしましたがw
それでも それから2度ほど注文してます。4種類ほどケーキがありますが
どれも美味しいですし シンプル 且つ 伝統的な味がします。まぁ伝統が
よく分りませんけどね。もし興味があれば 調べて注文してください。
値段も かなり安くて でっかいですから大勢で食べられますよ。
そして ぜひエルウィンさんの人柄と伝統の味を ご堪能ください。
ウチは近々チョコレートケーキに挑戦します。
次は何日掛かるか?若干ビビってマス。
頑張れ 下村東美。 頑張れ オレ!