北九州戦は某町の友人たちと一緒に観戦した。
そのメンバーが揃って応援したのは 5~6年ぶりぐらいだろうか。
札幌まで車で4時間近くも掛かるのだから 簡単に来れないのも無理はなく
また それぞれ忙しく 時間が取れないのが分かるから 強く誘うわけにもいかず
だけど いつも “また皆で応援したいな” と思っていた。
そんな願いが数年ぶりに叶い 皆が揃って応援できた事が本当に嬉しかった。
皆とはコンサドーレを通して10年近い付き合いになるが いつ会っても元気で
それでいて コンサドーレやサッカーに対しての愛情が全く変わってない事に驚く。
普通 数年もスタジアムに来れなかったら 少しは熱も冷めてしまうものだろうが
そんな様子はなく 選手入場の時は立ち上がり 思い切りタオルマフラーを掲げ
心から応援を楽しんでいた。 滅多に来れないからこそ 思い切り楽しむのだろうし
そんな姿を見れた事が 自分はとても嬉しく思えていた。
そして 変わらないのは 応援の熱だけじゃなく “酒の量も” だった。
試合後は当然 酒を飲んだ。 オレは全く飲めないのだが 友人らは店に入るなり
ガブガブと飲み出した。 女将から 「まだコップに入ってるでしょ」 と注意されても
「いいから いいから」 と飲み続け 1時間もしない内に呂律が回らなくなっていた。
「俺ら “ほいと飲み” だからさ」
友人が言った。 “ほいと” とは方言で ダイレクトに言えば 「乞食」 のこと。
意味はあまりよろしくないのだが 日常で使われる時はもっと愛嬌があると言うか
“微笑ましくガツガツしてる” みたいに使われているようだ。
自分はたまたま “ほいと” という言葉を知っていたから 笑って聞いてたが
カミさんは意味が分からず ただポカーンとするだけで それもまた可笑しかった。
北海道は広く 方言もそれぞれの地域で違ってたりして この “ほいと” のような
僕らには馴染がない言葉もあって 異文化交流みたいな面白さがあるのだ。
コンサドーレは “もっと ほいと” で行け!
■ 札幌 3-0 北九州
コンサドーレは開始13分の内村のゴールを皮切りに 立て続けに3点を取った。
それぞれのゴールは素晴らしく 特に砂川と内村のスペシャルコンビネーションは
一撃で北九州を凍りつかせる切れ味があった。 がしかし 問題はそこからだった。
序盤で3点を取ったコンサドーレは なんだか満足してしまったようで
それまでビュンビュン飛び出してた内村も ギラギラ裏を狙ってた前俊も
ガンガン縦パスを入れてた上原(拓)も スッカリ満足し 積極性を失ってしまった。
サッカーにとって3点差は安全圏であるし 相手は攻撃力に乏しい北九州だから
確かに攻め急がなくても良いのだろう。 だが相手は 見るからに攻め手がなく
それでいて守備は全体的に甘かった。 なら ここは “とことん行くところ” だろう。
特に 監督が修正を加えられない前半は ここぞとばかりに行くべきだったし
徹底的に叩きのめす貪欲さがあれば おそらくもう2~3点は取れたと思う。
“ほいと根性” が足りなかった。
サッカーを勝負事として捉えれば 時には非情にならなければならなく
まして相手が弱ってるなら 向かって来れないぐらい徹底的に叩く必要がある。
現に一昨年のコンサドーレは J1でそうされて メンタルが崩壊したのだから
やれる時はやる!という気概が欲しかった。 要するに ほいとが足りないのだ。
とは言え 前半途中からは 守ろうと意識して守って 0で抑えたわけだから
それはそれで収穫だったわけだし 強さも見せてくれたのだから 満足もしている。
また 都倉や古田が入って積極性が蘇ったのも 今後 活きてくるだろうと思った。
一方の北九州は 正直 何がやりたいのか分からなかった。
それは 昨年の最終戦でも思ったのだが 勝とうとする気配を感じず かと言って
内容を高めようという感じでもない。 去年の最終戦では GKがなぜか最初から
時間を使い続け その理由が全く不明なまま 引分で終え POを逃してしまった。
今回の試合でも3点差になりながら 急ぐ様子もなく 攻撃に人数を掛ける事もなく
何か0-0のままのような試合をしていた。 それでいて守備が緩い となると
試合後に北九州のサポーターがブーイングするのも それは当然だろうと思った。
正直 言えば 両チームとも “貪欲さ” が足りない試合だった。
3点で満足してしまったコンサドーレと 3点差でも焦らなさ過ぎる北九州。
両チームとも もっとガツガツして欲しかったし それがプロの試合なのだと思う。
そういう意味では 前節の湘南戦の方が 負けはしたが面白かった。
コンサドーレのサポーターとしては 最初の30分と最後の10分は楽しかったが
それ以外の “中だるみ” な状態は いかがなものかと思った。
北海道は広く 車で4時間も5時間も掛けて来る人が大勢いる。
試合の何倍もの時間を掛け いろんな障害がありながらも そこに来ているのだ。
そんな人たちのためにも 90分集中して 手を抜かず 貪欲に戦ってほしいと思う。
某町から来た愉快な仲間たちは 6時間ほど留まる事なく 貪欲に飲み続けた。
試合か 酒か どっちが本当の目的か分からないが それぞれ楽しんだようだ。
目的のために まっしぐらに それがきっと “ほいと飲み” なのだ。
ただ 午前零時を回って 4軒目に入った友人を見て そっと帰ってしまったのは
ちょっとばかり申しわけなく思ってる。 ゴメンよ 今度はとことん付き合うから。