先日 CMで “ファイターズで女子会を!” というのをやっていた。
20代の女子4人がピンクのユニフォームと応援グッズで キャーキャー観戦する
そんな女子会をスタジアムでどうぞ というのだ。 まるでコンサートやイベントに
参加するような スポーツ観戦と別世界であったが そこに全く違和感はなく
「ファイターズならアリだろうな」 と思った。 野球におけるポジティブなムードは
半世紀も前から構築されてるものだし まして北海道で人気のファイターズなら
女子がキャーキャーやっても不思議じゃない だから違和感がなかったのだろう。
そして もう1つ そのCMで強く印象に残ったのは
“楽しそうな観戦” だった。
スポーツ観戦はあくまでも “娯楽” である。 どういう背景や感情があるにせよ
代金を支払って 楽しむための娯楽なのだ だったら 「楽しい」 というベースが
あってこそ成立するものだろう。 ファイターズのCMには そんな楽しさが感じられ
ある意味 彼女たちのスタンスこそが “正しき観戦者” なのではないか と思った。
一方 サッカーはどうだろう? 野球のようなポジティブなムードはあるだろうか?
ないわけじゃないが正直 “キャー感” はほぼない。 単純に楽しむだけに来たなら
ライト層は撃沈してしまうような 重いムードがスタジアムにはある。
なんせ サッカーは “ガチ” だから。
時間が限られたポーツだから 1分1秒も見逃せない 常に功と守が入れ替わり
さっきチャンスかと思ってたら3秒後に大ピンチになってたりもする。
また 昇格と降格があり 今日の勝点1が半年後の泣き笑いに直結したりする。
そんなガチ感がスタジアムには常に流れていて 90分のほとんどが苦しいのだ。
でも それがサッカーである。
けして楽しいだけじゃなく むしろイライラや眉間のシワが深くなったとしても
心の深い所で 「楽しい!」 が波打ってる そんな複雑な感情のスポーツなのだ。
だからきっと サッカーファンに一度 足を踏み込んだ人は止められないのだろう。
ただ スタジアムに来た人 全員が全員 そうなるわけじゃなく。
ライトな人には耐えられないだろうし 常連だって 「つまらない」 と思う事もある
その結果 スタジアムを離れてしまう人が多いのも事実だろう。 そこで 思うのが
正しき観戦者になる。
日本でサッカーがメジャーになり出して20数年 今はたくさんの番組や雑誌があり
情報はいくらでも入って来る。 ただ それは選手のプレーであったり 能力や環境
あるいは専門的な戦術であったり とあくまでもプロ目線の情報なのである。
確かにそれらの情報を求めるし 見識を深めるためにも必要とは思うのだが
もっと我々に身近な 言うなれば “観戦者のための観戦者目線” なるものが
あってもいいのでは と思うのだ。 例えばスタジアムグルメだって大事だろうし
もっと現実的なら スタジアム近くのコレが美味いから買ってけ!とか 席の近くに
うるせぇヤジ親父がいたらこう対処せよ とか ゴール裏じゃない席で応援するなら
こうした方が良いとか 観戦者にとってもっとリアリティのある情報がほしいのだ。
勿論 観戦スタイルは人それぞれだから こうと決めつけるわけにはいかないが
やんわりでも 「理想の観戦者像」 なるものがあったら 観客の質やスタジアムの
ムードが変わるのではないか と思うのだ。 そうした情報をテレビなり雑誌なりの
メジャーな場所で積極的に取り組んで コア層を深めてはどうかと思うのである。
Jリーグの取り組みとしては ずっと広く浅くでファンを獲得しようとして来たが
そろそろ もう一歩 踏み込んだ指向に進むべきではないだろうか。
正しき観戦者。
それが どういうものであるか 正直 イメージはつかない。
海外のサポーターのようなイメージを持つが 風土も違う 歴史も違う日本で
近くにモデルになる人がいるわけじゃなく そんな人になれるだろうか。
だけど なりたい。
ゴールに立ち上がり 失点に頭を抱え ピンチに励まし チャンスに拳を握る。
イライラは噛み殺し 決してネガティブにならず 必死でポジティブに変える。
勝利に喜び 敗戦にやさぐれる。 一人 静かにやさぐれる。
そうして楽しむ。 そうして そうして 楽しみ続ける。
そんな 正しき観戦者に いつか なりたい。