矢吹丈が得意としていたのは 「クロスカウンター」
幕之内一歩は 「打たれ強さ」 と 「内に秘めた闘志」 でチャンプになった。
異なる2つのキャラクターが ひとつになったものが
コンサドーレの サッカーなのだ。
■札幌1-0東京V
シーズン前 思っていたのは 「東京Vと どの位戦えるか?」ということだった
J2の中でヴェルディは一つ貫けた戦力 そういったチームと戦う事で
昇格の目安になるだろうし 戦う意味でのポイントにもなると思っていた。
ただ それは ある意味 「ここには勝てないだろうが どの位 戦えるか」 という
エクスキューズが含まれたものだった。
だが 2戦 2勝。 それが 今現在の順位にも表れてる。
4月のドームで行なわれた初戦。今季 唯一と言っていい 4-3の荒れた試合。
あの時は 「こういう打ち合いもあるのか?」 と思ったが それ以降の戦いを見ても
あの試合がいかに特異だったかが分る。要するにヴェルディの試合だったのだ。
そして向えた2戦目。今度はアウェイであり 更に打ち合いになる事は予想された
だが そうなれば 攻撃力に優るヴェルディに分がある。
ましてここ最近のヴェルディ 急速に伸びてきたチーム力は脅威と言う他なく
実際 2節前のヴェルディvsベガルタを見たが ボールの回りが数段アップしていた
いよいよもって 「ヴェルディ本調子」 のように思える。
一方のコンサドーレは 疲れからコンディションの低下が見られる
1敗 1分けで向えた試合。流れから言っても ここが踏ん張りどころであった。
そんな 予想を全て覆す 試合。
アウェイ・味スタで見せた コンサドーレペースの試合。
1-0と言う結果が 全てを物語るのではないだろうか。
この試合 コンサドーレはいかにして 「自分たちの試合」 をするか
正しく言えば 「ヴェルディの試合にさせないか」 を重要視したのではないだろうか。
調子の上がってきたヴェルディと打ち合いをして敵うものではない
そのために早く強いプレスを繰り返し ヴェルディの長所を封じた。
そうした 「相手のサッカーにさせない」 という意識が いつもより強く見られたのだ。
ただ 幸運や相手のミスに救われた事も事実。
無論 札幌にもチャンスはあり ミスで潰してしまう事もあるが
それ以上に大きなピンチがいくつもある。それらを少しづつでも減らさなくては
今後のリーグ戦や その後の事も含めても 危険と言わざるを得ない。
そういった意味で これからは 「意識の高さ」 が必要になるのではないだろうか。
相手シュートに対する意識。ドリブルを防ぐ意識。攻守切り替えの意識。
まだ 「J2だから通用する守備」 があり
そこを 「もう一つ上の意識」 に上げる段階になったように思う。
とは言え この勝利は 結果以上に大きいはずだ。
ヒーローインタビューで 曽田が言っていたが
「他のチームにも 札幌は強い と思わせることが出来た」 と。
これは 本当にそう思う。
他チームにもヴェルディは一つのバロメーターだったはずだ
そのヴェルディ相手に2勝を上げた。とすれば 運や勢いだけではない
「本物の強さ」 という意識を植え付けたさせたのではないだろうか。
そこが今回の勝利の一番大きな収穫なのだ。
1敗1分という悪い流れ アウェイ 対するは調子の上がったヴェルディ
この状況下 勝ちと負けでは雲泥の差があり 今後にも大きく影響する
ここが まさにターニングポイントだった。
その試合を 「札幌の試合」 にし 勝利を上げた
そういった強さを見せてくれたことが嬉しい。
今後も楽観はできないが 妙にネガティブになる事はないだろう
そう思える 一戦になった。
幕之内一歩は イジメられっ子だった。
ある日 助けてくれたボクサーに憧れ ボクシングを始める
「強くなりたい」 その一心でトレーニングを続け そして力を付ける。
「耐える」 事を知っている強み どれだけ打たれても決して怯むことはなかった。
そして 「一撃」 を秘めたパンチ力。ガードの下から ずっと耐えながら狙い続けた。
ドヤ街に現れた 矢吹丈は 荒(すさ)んだ暮らしをする。
ある日 少年院に届いたのは 「あしたのために」 と書かれた葉書。
そこにはボクシングの講義が記されていた。差出人は 丹下段平。
丈は 「クロスカウンター」 を武器に戦う。最後の最後まで戦った。
全ての始まりは 「あしたのために」 からだった。
耐えて 耐えて 耐えて 打って また耐えて。
それが 札幌のサッカーだ。
矢吹の「強さ」 と 一歩の「みっともなさ」 が混合したサッカーだ。
だがそれは 泥沼を這いつくばったからこその
昨日 今日の築き上げじゃないからこその
「強さ」 と 「みっともなさ」 なのだ。
それは 尊くあり 誇りに思える。
今日の強さは 底辺を歩いたから
「あしたのために」 があったから
だからこそ 今があるのだ。
最後に もう一つ。
あしたのために 打つべし がんばれ元気。