世間の風評を跳ね除けて 見事 栄冠を手にした ドゥンガ
その胸に木霊した言葉は こうだったに違いない
どんなもんじゃ!
■07 南米選手権 (コパ・アメリカ) 決勝
ブラジル3-0アルゼンチン
大会前からブラジルの下馬評は低いものだった。
その大きな理由は ロナウジーニョ・カカ・アドリアーノといった主力選手を
大会不参加で欠いた事で チーム力低下が確実視されたこと
事実 大会初戦ではメキシコに敗れるという波乱のスタートから始まり
また その戦い方もブラジルらしからぬ 「守備重視」 というもので
その地味と言える戦い方には ブラジル国内からも批判の声も多かった。
その矛先となったのが 監督である ドゥンガ。
ブラジルメディアはチーム力よりも チームスタイルに不満を書き
その要因は 「ドゥンガの戦術によるもの」 としたのだ。
その声はマスコミに止まらず あのペレでさえ否定的な言葉を向けていた。
チーム力低下 大会の不調 高まるドゥンガ批判
あらゆる逆境の中 ドゥンガはドゥンガのスタイルを貫き
ファイナルの地へ辿り着いていた。
一方のアルゼンチン。
リケルメ・メッシ・テベスは好調のまま大会を迎え 加えてクレスポ・ベロンといった
ベテラン勢も復帰した。戦力もコンディションも申し分のないチーム状態。
優勝候補筆頭は揺るがなかった。実際 大会が始まると その力は圧倒的で
グループリーグを3戦全勝 得点は9と攻撃力の高さを見せ付けた。
また勢いは更に高まり 決勝トーナメントでもペルーに4-0 メキシコに3-0と
優勝候補の名に相応しい結果を残して進んだ。
そして向えたファイナル。
これまでの戦いを見ても 優勝の予想は揺るぎない。
リケルメの大会 メッシの大会 アルゼンチンの大会と呼ばれるのは明白だった。
実のところ 今大会 アルゼンチンの試合は3つほど見ていたのですが
ブラジルはひと試合も見てなくて ただ ロナウジーニョとカカが出ないと聞いて
「それじゃ 優勝は無理だろ」 ぐらいな気持ちでいたのは確かです。
で また アルゼンチンの見た試合では もう無茶苦茶というほど強く
クレスポの負傷があっても メッシが活躍するわ リケルメのFKは
とんでもなく とんでもないわ ベロンが あの顔のくせにゲームを落ち着かせるわ で
それぞれが それぞれの特長を出しつつも チームになっている という
何とも銀河系的 異次元の強さを持ったチームでした。
なもんだから 決勝戦でも アルゼンチンの優勝は揺るがないと ばっかり思って。
でも違ったなー。試合開始から どうにもアルゼンチンにペースが行かない。
リケルメにボールが入っても 良い所にパスが出ない メッシが持っても
ドリブルできない。テベスのゴリゴリが止められる。どうしたかな とよく見ると
ブラジルの守備が良いんですよね。そんな馬鹿なと思って見ても やっぱり良い。
常にボールサイドへ厳しく行き 2人3人とからんで守る 奪えば素早いカウンターと
本当にブラジルらしからぬスタイルで しかも精度が高いわけですよ。
そうするとアルゼンチンは うかつに攻撃が出来なくて ボールは持っているけども
持たされてる という状態になってました。それでも どっかから あの超強力な攻撃が
見られるはずだ と信じて疑わなかったんですが それもまた違いましたね。
ブラジルの守備は 最後の最後まで 粘り強く しっかりとしたものでした。
結果は 3-0
全ての予想を覆す ブラジルの勝利。
あらゆる風評を覆す ドゥンガの勝利。
これまでもブラジルは 何度か守備重視のスタイルを取って来たことあって
ザガロなんかも守備に重みを置く監督でしたし 結果も残しています
ただ国内では そういったスタイルに対し 嫌悪感があるのも事実で
例え結果を残しても 批判の対象となるのは致し方ないといったところでしょうか。
今回のドゥンガも ザガロの戦術を継承しつつ 粘り強さとハードワークで
栄冠を勝ち取っていました。そのことは 結果以上に意味のある事かと
それも あの戦力での優勝ですから なお更 大きな意味があるかと思いますね。
南米選手権においての 守備的なチームの優勝。
それが ブラジルだった事。ブラジルが守備重視のチームで戦った事。
こういった事は 多少なりとも今後に影響があるんじゃないでしょうか。
攻撃的なサッカーは見ていて楽しい だが 結果を求めるなら
守備から入らなければならない。それをブラジルが証明した。
これは やはり大きい事だと思いますね。
優勝した瞬間 ドゥンガの隣には 元鹿島のジョルジーニョがいました。
この2人が 日本に残したものが 今 いろんな所で花開いています
この日本の北の果て 札幌にも 少なからずその功績があるかと思います
喜びで抱き合う2人と リーグ戦トップの札幌
底辺に共通する 「逆境」 や 「守る事の重要さ」 を持ち続ける限り
結果も自ずと付いてくる と信じられるんじゃないでしょうか。
そして 秋には こう叫びたい
どんなもんじゃ!
と。
とにかく天晴れ!ドゥンガ!