今 最強助っ人外人 と言えば
ど演歌ブラザー 「ジェロ」 を置いて他にあるまい。
アルセウ電撃退団から半月が過ぎた。チームの骨格として必要だった駒が
突然の欠落を見せたのだが その損失を補う情報は まだ入っていない。
このまま現有選手で行くのか? それとも最強助っ人外人が現れるのか?
そこに興味が湧いてくる。だが この短期間で良い人材を探せるだろうか。
いや 見つけたとしても チームにフィットできるのか?戦術に合うのか?
そういった困難が待ち受けている。そして 何より心配なのは
日本の文化に馴染めるのか?
それが大きな問題である。
今回のアルセウ退団のように 上手く溶け込めない選手は少なからずいる。
またブラジルから直接 札幌へ入団した場合 気候や文化など環境の差が激しく
それに順応できずにいる選手もいる。そういった事を考えると 技術や能力だけでなく
「日本 そのものに馴染めるか どうか」 が最も必要な資質ではないだろうか。
そう考えると 助っ人外人探し 実にこれ困難を極める作業である。
そもそも 異国で生まれ育った人間が 全く違う環境に すぐ馴染むなど
到底無理な話しなのだ。まして特異な文化と言えるこの日本 その心まで理解し
どっぷりと和に染まる者などいるはずもない!いてたまるか!
否。いる。
ジェロだ。
皆さまはご存知だろうか。この ジェロを。
鳥栖あたりが こっそり入団させた外国人選手ではない。
このヒップでホップで ダンシスィングで ソウルフルなブラザーは
演歌歌手だ。
それも 「ENKA」 などではない。
正真正銘
ど演歌
なのだ。
もうご存知の方も多いだろうが 一度聞けば ど演歌な事が分かる。
私も最初はビックリした。いやビックリなんてもんじゃない。
その時は朝のテレビ番組で見たのだが 「演歌を歌う黒人」 みたいな紹介で
さほど期待もなく見ていた。イントロが流れ 目を閉じ それっぽい顔をするブラザー。
それでも よくある 「カタコト和物」 だと思っていた。
だが違った。その第一声で 全てが変わった。
彼のノドから奏でられるのは まごうことなき和の心だった。
我耳を疑う。そんな まさか と。このヒップでホッパーなブラザーから
よもやの ど演歌。それも五木ひろしってるのだ。
地を這うような重低音の張り そこから坂を上るような中音 そして澄み渡る高音
言葉のひとつひとつをしっかりと そして大切に 歌い伝える。
ブラザーの体から発信されるのは ど演歌 そして 和の心 と言う他になかった。
とにかく驚いた。その驚きが 外見と表現のギャップなのか?
歌のクオリティなのか?それとも我ら日本人が忘れたものだったからなのか?
何が大きな原因かは分からない。分からないが 驚く。
そして 笑う。
なんか笑う。最初は期待もせず 次に驚く そして笑うのだ。
まるで 吹き替えのようなのだ。あり得ないほどのギャップに込み上げるのだ。
だが その驚きも笑いも 次第に消え 次にくるものは 引き込まれた世界である。
海が見える。雪が見える。そして 出雲崎が見えるのだ。行った事はないが。
やはり このブラザーは凄い。
外見と表現のギャップを売りにする 「カタコト和物」 の漫才師や
日本人なのに和の心も感じないアイドル演歌歌手とは 明らかに違う。
和にどっぷり浸り 和を奏でる ど演歌歌手なのである。
ちなみに このジェロ。アメリカペンシルヴァニア出身で 祖母が日本人だと言う。
その祖母の影響で演歌を覚え そして 「おばあちゃんを喜ばせたい」 が為に
歌い出した と。おいおい良い話しではないか。さらには名門大学で情報科学を学び
コンピューターエンジニアとして将来を嘱望されていたが 演歌を歌いたいが為に
遥々異国の地 日本まで来た と言う。どうだこの情熱 この魂。
あの歌が そんじょそこらのエセモノと違うのが よく分かる。
もはや 過去の産物として枯れつつある演歌。
そこへ懐かしくも新しい 「和の心」 を再認識させるブラザーが現れた。
まさに 最強助っ人の出現である。
それは演歌界のみならず 我々聞く側にとっても助っ人になるはずだ。
忘れ去られる前に もう一度 蘇らせた ど演歌。それが彼の担うもの。
期待していいのではないだろうか 彼の歌に。彼の魂に。
五木ひろしより 五木ひろしった 彼の演歌に。
画面を見ればヒップでホップなブラザー。目を閉じればど演歌な世界。
どっぷりと浸る和の心。そこにある衝撃と安らぎ。それが今話題の ジェロ だ。
その ど演歌を ぜひ一度 ご堪能頂きたい。
それにしても モンゴル人の横綱 アメリカ人の ど演歌 と
もはや日本の文化もへったくれもないような気がする。
こうなったら 外人から和の心を教えてもらうようにしたらいいのではないか。
そうだ そうすべきだ まずは手始めとして
ダヴィは 茶道を 覚えるべきだ と思う。