監督にはそれぞれ 自分なりの基準や方法論があって
三浦監督にも 三浦俊也 独自の流儀がある。
三浦の基準 三浦の流儀 それが 「三浦スタンダード」 である。
三谷幸喜の作るコメディには 「笑いを どうシリアスに撮るか」 と言うテーマがあって
そのための脚本・演出 キャストが組まれている。徹頭徹尾そのテーマに沿って
作られてるため より 「三谷色」 が強い作品になるのだろう。
ヒディンクも同じ より攻撃的なサッカーにするため 「萎えない勇気」 をテーマにして
選手を選び トレーニングをし EUROという大きな大会で証明させている。
共に独自の考えがあって その流儀に従って 作品を作り出しているのだ。
では 三浦監督の流儀 三浦監督の基準は 何だろうか。
様々ある 「三浦スタンダード」 を思い当たる範囲で いくつか考えてみた。
まず三浦監督の芯になるのは 「勝つために」 ではないだろうか。
これまでの監督 例えばジョアン・カルロスはチーム力を度外視したブラジル型の
プロチームを目指し 柳下監督は勝敗よりも チーム整備に力を注いでいた
翻って 三浦監督は物理的に現実を捉え 結果を最優先させたチーム作りをしている
昨年1年間の監督を見ても 結果を見ても それは明白なのだろう。
では 「勝つために」 を実践する方法はどういったものなのか。
そこにある理由が 監督の基準や方法論 三浦スタンダードのように思う。
様々ある基準の中でも 際立っているのは 「長身の選手を使う」 事だろう。
昨年 起用した選手 今年獲った選手を見ても その傾向は明らかで
今回 契約解除になったノナトとアンデルソンの入れ替えも 数字として表れている。
ただなぜ ここまで長身にこだわるのか?が疑問になってくるのだが
その理由の一つには 「ドイツ」 が挙げられるのではないだろうか。
三浦監督が5年半もの間 留学したドイツの影響は多大だろう
そこで学んだ 「勝つため」 の大前提に 「フィジカルの強さ」 はあったはずだ
同じ技術なら体の大きな方が優位である事は間違いないのだ。
後ろで跳ね返す力 中盤で潰されない力 前で競り合う力 それらのフィジカルが
「勝利に最も必要なもの」 としているのではないだろうか。
但し サイドの選手に至っては 「フィジカルよりも技術」 を優先させている
ドイツでも リトバルスキーや今ならポドルスキは 体が小さくても必要な選手なのだ。
三浦スタンダードの選手起用基準は まず長身である事。
その上で 各ポジション毎にも基準を設けてるように思う。
例えば DFならセンター2枚は とにかくフィジカル。箕輪を獲った事でも分る様に
フィジカルの強さを一番に求めている。極端な話し スピードやフィードの技術よりも
跳ね返す力が最優先になっているのだ。SBも基本は同じ 攻撃力や縦への速さより
強さを優先させ 守備陣全体の安定感が基準になっているのではないだろうか。
中盤 ボランチはハードワーク。芳賀に代表するように 「潰し」 出来る選手が1つ
守備での貢献が優先で ただそこにも高さが欲しいためマーカスの加入があった。
もう一つのボランチには展開力。勿論 ハードワークも求め 得点も必要としているが
クライトンをFWで起用する事もあったため 今一つ定まらない起用になっていた。
ドイツでいうならマテウス もしくはバラックをイメージした選手を求めてるように思う。
サイドは片方に技術 片方にスピードが基準になっている。双方共に得点力も
求めているのだが 今の所 技術が足りない事と FWのキープ力が弱いため
エリア内でのプレーにまで至ってないのが現状だろう。クライトンのFW起用も
前線でのキープ力を上げたいがための策に思えた。
そしてFW。三浦監督がよく言うように 「FWの決定力が全て」 は本音だろう。
いくら守備意識を高めようと 得点力が乏しければ 「勝つ」 までには至らない
そうした弱点はチーム全体に影響を及ぼすのだ。多少 質の悪いボールでも
巧く処理して 得点に繋げてくれたなら もう少し強気な試合運びが出来るだろうし
クライトンの技術力を前に持って行きたがった理由も そこにあるように思う。
またFWの守備力も大きな基準でもある。中山に代表されるように 前線での守備は
チームの骨格と言え ここでのハードワークが守備組織を潤滑する力でもあるのだ。
こうして それぞれのポジションに それぞれの選考基準があって
背の高さやFWの守備力などは 三浦監督 独特の基準ではないだろうか。
もう一つ 三浦スタンダードとして見られるのは 「トップとサテの分断」 だ。
練習に行くと トップとサテライトが明確に分断されているのが分る
野球で言うならメジャーとマイナーのように 別チームとして扱ってるのだ。
映画 「GOAL!」 でもスカウトに見出された主人公がニューカッスルへ入るのだが
最初はリザーブリーグで出場をし そこでの活躍を認められたある日 練習場の扉に
貼り出されたトップチームメンバー表に名前がある というシーンがあった。
同じクラブ内でも 昇格・降格があるのだ。おそらくヨーロッパの多くのチームは
そうした2部制を敷き ハングリー精神や プロとしての自覚や 競争心を煽っている
のではないだろうか。ドイツの影響が大きい三浦監督が用いてても不思議はない。
まずトップのレギュラーがいて トップのサブがいて そこまでがトップチーム
次に完全な分断があって サテライトの選手 という構図になっているのだ。
サッカーは出場できる選手が14人までと決まっているのだから サブ選手以外は
サテライトに回るのは当然で 三浦監督に限ったやり方ではないのだが
ここまではっきり分断させる監督は 日本だとまだ少数派ではないだろうか。
日本だと まだアマチュアの体質が色濃く残っているせいか 心情的に 「分断」 する
までには至らず トップとサテの境目は さほど大きなものではないように思う。
また この方法だと サテの選手が好調であっても簡単に起用出来ないのが難点で
その辺りに問題が起こるのも事実だろう。「○○を使えば…」 という声をよく聞く。
ただ半端に起用するなら 出れない選手でも 「その内に」 という多少の甘えも出るし
出ている選手にも 「しがみつく」 といった気持ちも生れないだろう。
より厳しい環境にするためにも より強い競争心を煽るためにも はっきりした分断が
必要なのではないだろうか。そこで生れる競争心こそが本物なのだ。
また 一度決めた序列を簡単には変えないのも 基準の強さを示すためで
選考にブレがない事を知らしめているのだろう。こうした厳しさを 選手は身を以って
感じ 監督が徹底する事によって 覚悟も生れるのだ。
サテに回った選手は まずは監督に認められ トップチームに昇格する事を目標とし
そこから出場機会を得て 僅かなチャンスをものにしなければレギュラーは程遠い。
その環境に腐るか 突き破って来るかは 全て自分次第なのだ。
練習要員になりたくなければ 「自分で環境を打開するしかない」 わけで
監督はそれを見ているし それに期待し そのための席は常に1つ空けているのだ。
ハングリー精神を培うために より強いチームを作るために 三浦監督が選んだ方法
それが 「トップとサテの分断」 ではないだろうか。
こうした いくつかの三浦監督の基準 流儀が 三浦スタンダードなのだろう。
おそらく まだまだあるだろうが 思いつく大きな点はこの辺りのように思った。
三浦スタンダード
●三浦スタンダードの根底はドイツ
●ハードワークが信条
●守備意識の高さ が重要
●背の高い選手 フィジカルの強いを優先する
●サイドもしくはフォーワードにはテクニックを求める
●FWにも守備力を求める
●FWの決定力は絶対必要としているが 課題でもある
●トップとサテライトの分断 2部制のチーム作り
●選手の競争心を高め 「勝つ」 事へのこだわりを持たせる
これらの事項が監督の基準になっているのではないだろうか。
また こうして監督の信条を憶測する事によって 理解が生れるだろうし
理解が生れれば 批判や不満も少なくなるように思う。
応援しているのだから いかに 「理解しようとするか」 が大事なように思うのだ。
まだまだあるだろう 「三浦スタンダード」 あなたも考えてみてはいかがでしょう
合ってるか合ってないかは それほど大きなものじゃないと思う
まずは 考えてみて 理解しようとしてみて 目線を近づける事が出来たなら
それでいいんじゃないかと。そうする事で また違った視点を持って
チームを応援する事が出来るんじゃないかと 思うのです。
ただ これだけは 間違いない と言える
三浦スタンダードの芯念は 「勝つために」 である。